74話 職場3(葉side)
店長との話。
遅番が出勤してから少しキッチンで手伝いをして少しだけフロアーに出て時間が来たので帰る準備をする為に事務所へ向かう。今日は店長と会わなかったから平和な1日だった。巻さんがいれば抑えが効くんだけど。多分仕事はしっかり出来る人なんだと思う。お客様も増えてきているし従業員からも不満の声は少ないと思う。ただ・・・・・・ちょっと性格に問題があるくらいかなぁ。あれが無ければとってもいい人なんだけど。
そんなことを思いながら扉を開けると問題の店長が事務所で紙に鉛筆を走らせていた。次のイベントの案でも考えているのだろうか。関わりあうのがめんど・・・・・・仕事の邪魔をするのも申し訳ないのでシフトを確認して休憩所に戻ろうとしたけど
「おっ、この匂いは葉たんですね!!」
「おはようございます店長。あと匂いは気持ち悪いんでやめてください」
にっこりと笑顔で答える。前に同じようなことを言われて汚物を見るような目で睨んだ時にぶるぶると震えて嬉しそうに悶える店長を見てから笑顔で対応するようになった。店長自体は意外にしっかりした人で何かトラブルがあった時も円滑に対応してくれる。見た目も悪いわけでは無いし黙っていれば格好いいと思うんだけど。性格が・・・・・・
「葉たんは相変わらず冷たいなぁ、前みたいに汚物を見るような目で私を見下してくれてもいいんだよ。さぁ、さぁ、早く!!」
「あははっ、あの僕用事がなければ行きますんで」
この場にいても面倒くさいので逃げようとしたが次のイベントの案を出すのを手伝ってほしいと言われて近くにあった椅子に座る。もちろん少し離れて。
「うーん、得に無理矢理案を出さなくてもいいんじゃないですか?お客様から不満が出ているわけでもないですし」
「葉たん、お客様はね刺激を求めているんだよ、普通のお客様はここみたいな尖った店には来ないはずだよ。世の中にはいくらでも可愛いメイドさんや妹に姉、兄、弟、渋い叔父様、人妻なんでもある中でこの店に来てくれる、そんなお客様が喜んでくれないとやっている意味がない」
すぐにイベントの案が出てくるわけでもないけど、こうやってイベントの案を話すのは好きだ。無理な意見でも何かの参考になることがある。このお店のイベントもこうやって生まれたこともある。
もし大兄とお店をやることになったらここには出勤できなくなるかもしれない。店長のことはどうでもいいけど皆と働けなくなるのは悲しい。今までは考えないようにしていたけど考えないといけない。多分大兄の話はその話なんじゃないかと勝手に思った。
ゆっくりのんびり更新します。




