66話 経過日誌2(山田side)
今までの契約者の経過報告。
一人目は純粋にお店を経営したい人でしたね。確か美味しい珈琲を飲むのが趣味でその気持ちを伝えるために喫茶店を経営したいと私の働いている会社にやってきました。色々な物件を紹介するなかであの異世界に繋がる物件が気に入ったようでしたので案内をすることになりました。まぁ、値段が格安だったからだというだけだと思いますが。お店を見に行った際に気に入ったようですぐに契約の話になりました。ただこだわりが強すぎて珈琲にお金をかけすぎて経営ができなくなって辞めてしまいました。
二人目はお金儲けにしか興味の無い人でした。従業員の給料や仕入れの金額もギリギリでやっていて儲かりだしたまででやめておけばよかったのですが、異世界のものに興味をもったのが悪かった。異世界のものを持ち出そうとして罠にかかって生きているかどうかも分かりません。まぁ生きていると分かったら・・・・・・
三人目は現実逃避する人でしたね。仕事を何度も変えていて、基本的に定職にはついていない人でした。人に使われたくないから自分がオーナーになると、かなり安易な考えでお店経営を始めました。もちろん備品なども揃っていて格安の物件ということであの物件が気に入ったようです。異世界の話をした時のあの嬉しそうな顔・・・・・・案の定、経営もほとんど行わず異世界に入り浸るようになりました。基本的に友好的な種族が多いのですが何を勘違いしたか異世界の種族を傷つけ始めました。彼らは友好的な相手に対しては友好的なだけです。敵対心を持つものに対しては・・・・・・
四人目は現在、異世界で幸せそうに過ごしています。そもそも彼は、お金に対する欲というものがありませんでした。学生の頃に初めて行ったBarの魅力にハマり、大学を止めてそのお店で住み込みで働いて知識をつけていきました。そしてその後、働いていたオーナーの薦めで大きい店から小さい店まで全国の様々なお店を回りこの土地に戻ってお店を経営する為に物件を探している時にこのお店を見つけました。彼は異世界には興味はありませんでした。私が案内しようとしましたが、自分はお酒の事以外興味が無いのでと常にお店の事ばかり考えて仕事をされていました。だからといって2階の扉の管理をしないわけではなく毎日、扉がしまっているかの確認もされていましたし、私としては理想的な管理者だったのですが・・・・・・彼がお酒以外に可愛い男性に興味があるとは思いませんでした。私が今後も管理をしてもらおうと異世界で催しものをやったのがダメでした。異世界の種族を好きになり現実の世界に戻らなくなってしまいました。
そして五人目です。
不思議と不安はありませんが、人間の欲望はいつ目覚めるか分かりませんからね。
ゆっくりのんびり更新します。