63話 商店街にてその13
李音君に翻弄される。
「大兄、恋人って何かなぁ? 僕聞いてないよね? 何々、どっちから告白したの? 付き合ってどれくらい? 」
「へぇ、大さんの好みってこんな感じなんっすね。いや、大さんの場合はきっかけもあるっすかね。つまり自分にも・・・・・・次の金曜日に・・・・・・」
「みゃはぁ、師匠、修羅場だねぇ♪」
人の気も知らないで李音君が楽しそうにしている。イタズラ好きなのもいいが、いつか大きなトラブルに巻き込まれないか心配だ。そもそも、出会いはトラブルだったし。言っても聞かないだろうなと考えて頭を掻く。
「今日はどうしたの師匠? 作ってる服を見に来たのぉ。計姉さんが仕上げしてたから間もなくと思うけどぉ」
「それより、二人に冗談って伝えてよ李音君」
屈んで耳元で囁く。それにくすぐったそうに聞く李音君。
あれ・・・・・・これって更に仲良く見えないだろうか?背筋にビリビリくる寒気にそれを実感する。
「みゃはぁ、もぅ師匠、皆が見てるよぉ。我慢できなくなったのぉ♪」
クスクス笑い、俺が困る姿を見て楽しんでいる。楽しみ終わったのか、二人に出会いからの話をして今は恋人では無いと説明してくれた。
んっ・・・・・・今はって言ってなかったか?まぁいつもの冗談だろうと思い、制服のことも含めて中に入ることにした。中にはレジ対応をあたふたしながら対応する計さんがいた。その姿に李音君が居ないとお店をやっていけるか心配になる。
こちらに気がついた計さんが突進して抱きついてくる。姉弟揃ってその癖は止めた方がいい。絶対勘違いする人間が出てくる。胸筋を満足するまで撫で終わるとやっと離れてくれる。
「今日はどうしたの師匠。服の進行具合が気になった? 」
「いや、その今日は聞きたいことがあって」
葉君を呼ぶと少し緊張しながら近づいてくる。どうやら葉君の中で凄い人なのかもしれない。
「あの、その、お店をやる予定なんですけど、計さんの作ってくれた制服を着たくて」
あたふたしながら答える。計さんは葉君をじっと見つめながら葉君の周りを回る。すっと目を閉じてポケットからメジャーを取り出し葉君の採寸を開始する。
メジャーあるじゃないか!!
「李音君、メジャーあるんだけど」
つい疑問を投げかけると
「あれは、私達の趣味だからぁ♪」
そう言って李音君は微笑む。改めて年下の可愛い子には勝てないと再認識させられた。
ゆっくりのんびり更新します。




