62話 商店街にてその12
店の物を見てまわることに。
会計を終えて外に出ると。楽しそうに話している二人が居た。いったい何を話しているのか近づいたら、気まずそうにあたふたしだした。うーんやっぱり俺への不満だろうか。そう考えながら頭を掻く。
そういえば見に行く店が決まっていない。お店に関するものと言っても色々ある。いったいどこから見に行けばよいだろうか。
「ねぇ葉君、どこか見たい店はある? 」
「うーん、そうだなぁ、お店に置く小物が見たいかなぁ。後はオリジナルの制服も着てみたいし・・・・・・」
鈴君は自分は無理やりついてきたんで二人に付き合うといつもの調子で微笑む。
葉君の意見を聞いて小物を見てまわることにした。置物、お皿、グラスなどなど気になったらその店を確認してを繰り返し時間は過ぎていった。相変わらず周囲からの視線はあるが人の多さがそれをすぐにまぎらわせてくれた。
辺りが暗くなり始めた頃に葉君がお店の前で足を止める。『百影』という見覚えのある看板が目に入る。
「葉君、この店に入るのかい? 」
「うーん、お店の制服をこのお店の店主にお願いしたいんだけど、本人が気に入ったものしか作らないかなり頑固な人なんだよね。それに作ってもらえるとしても順番待ちになると思うし」
葉君は、うーんと腕を組んで考えている。どうやら計さんは意外と有名なのかもしれない。ただ今日は何となくこの店に入りたくない、いや・・・・・・入ってはいけない気がする。
「じゃあ、今度にしようか葉君? それに今日はもう遅いしね」
その場から立ち去ろうとした視線の先に居た李音君と目が合う。帽子に眼鏡をかけて大きめのスウェットにワイドパンツに靴を履いて相変わらず可愛らしい格好をしていた。
こちらの様子を見てニヤリと笑う。
背筋がゾッとする。
「師匠寂しかった・・・・・・」
二人の目の前で抱きついてくる。
「大兄、李音君とどういう関係なの? 」
葉君が微笑みながら聞いてくるが何故だか全く笑っているように感じない。
「いや、ただ」
「ただの恋人です♪」
俺が答える前に声を被せてきて二人に見せつけるように腕を組んでくる。
ははっ、相手が悪かったな李音君。俺にそんなことをしても二人には全く効果がない。いや? 周りから殺意の視線を向けられる可能性はあるか。なるほどさすが李音君、その手があったか。周囲からの殺意の視線は慣れたものだが、それは予想に反して葉君と鈴君も含めた全体からだった。
ゆっくりのんびり更新します。




