56話 商店街にてその6(鈴side)
鈴君の気持ちを少しだけ。
大さんの好きな人ってどんな人っすかね。大さんとの出会いは職務質問だった。自分の勘違いだったけど、大さんは全く気にせず許してくれた。
それから大さんとは、朝の日課と託けて一緒に外を走るようになり、少しずつ一緒に居る時間が増えていった。大さんの話を聞いていると葉さんがまるで大さんの奥さんのように家に居るようだ。奏さんと結婚しているのに大さんと一緒に居るのはかなりずるいと思う。
そう思うのは自分から見て、葉さんがどう見ても大さんのことが好きなように感じるからだ。
もちろん『ライク』ではなく『ラブ』・・・・・・
大さんを見ている瞳や表情、自分が大さんと話している時の不機嫌そうな表情を見ていて間違い無いと確信した。自分の勘違いかもしれないが今日は来てよかった気がする。
葉さんのあの格好・・・・・・
今日何かする気だったはず。
自分の細胞はそう言っている。今朝の日課で感じた不安が的中したかもしれない。ほぼ無理やり今日の買い物のことを聞けて本当に幸運だったと思う。プライベートだとジーンズにシャツを着るぐらいでほとんどお洒落をしないけど、今日は念の為に買っておいたいわゆる女性が着る可愛らしい服を着てきた。短いスパッツを履き肌シャツを着てその上から膝までのニットワンピースを着る。いつもは纏めていない髪を無理やりポニーテールにして黒縁眼鏡をかけてみる。鏡を見て見慣れない姿に違和感を覚えるけど、大さんはきっと褒めてくれるだろう。それは大さんの良い所でも悪い所でもあるんっすけど。
待ち合わせの場所で葉さんの格好を見た時に今日来れてよかったと本当に思った。葉さんはただでさえ可愛いのに今日の格好は反則級に可愛かった。これでもし迫られたら大さんでも一線を越えてしまうかもしれない・・・・・・そう思ってしまった。そのせいか変な輩達に絡まれてしまった。せっかく大さんとの買い物を楽しみにしていたのに邪魔をされてしまったので絡んできた輩達をしばらく歩けないように痛めつけようと思ったが大さんの姿が見えてそれを止めた。
結果として大さんが危ない目にあってしまったが、大さんの丈夫さを再認識する結果になった。痛みに対してかなり特殊な耐性があるので少し心配っすけど。
そして一つだけ嘘をつくことにした。本当はスパッツを履いているが下着を履いていないと大さんに伝えると想像以上の反応を示した。大さんはきっと自分じゃなくても同じような反応をすると思う。だけど今は自分だけのことを心配してくれている。卑怯だけどそれが凄く嬉しい自分がいて、大さんをからかうたびに見せる表情に心臓の鼓動が早くなった。
だめだ・・・・・・隠しきれない・・・・・・
再認識した・・・・・・
自分は大さんの事が大好きです・・・・・・
ゆっくりのんびり更新します。




