54話 商店街にて4
二人組が逃げたのを見送り葉君と鈴君に話しかける。
ふぅ、何とかなった。奏に何度かスタンガンを当てられて耐久力を上げていなかったら危なかったかもしれない。さすがに最初の方はすぐに意識を失ったからな。
えっと、多分、変な男達に絡まれていたのは葉君と鈴君だと思う。
多分そう思うんだけど、何で二人とも今日はその可愛い格好をしているのだろうか?いや、もしかしたら二人じゃない可能性もあるのだろうか?
「えっと、大丈夫だったかい葉君、鈴君? 」
「大兄こそ、大丈夫なの? 」
抱きついて心配そうに見上げてくる。
何だよこの可愛い生き物!?
どこで売ってるんだよ!?
そう心の中で叫びながら大丈夫と伝える。いつもとは違う服のせいか可愛いと思う気持ちが強くなる。
『手を出したら殺すから』
奏の言葉が頭で再生されて少し落ち着いた。
「えへへ、自分もっす♪」
鈴君も抱きついてくる。鈴君の服装もかなり強力だ。それに人前なのでやめてほしい。慣れてしまった殺意の視線を浴びる。
「おいおいおいおい、何だよあいつ、おっさんの癖にモテるっていうラノベの主人公気分かよ? 」
「おっさんの癖に現世でこのような罪深きことを、地獄に落ちますな」
「ちょっと何よあの体型、シャツが破れそうなくらいパンパンじゃない?飛行機に持ち込んだポテトチップス? 」
と・・・・・・とにかくこの場所から早く離れたい。二人に離れるように伝え引き離そうとするが中々離れてくれない。葉君は何故だか分からないが鈴君の悪戯っぽく笑う顔を見て俺が困る姿を楽しんでいるのだろう。
「だめっすよ大さん、待ち合わせにお洒落してきた相手にはちゃんと感想を言わないと」
葉君が心配そうに潤んだ瞳で見つめてくる。
「その、あの、おっさんに、言われても嬉しくないだろうし気持ち悪いと思うけど、二人とも可愛いです・・・・・・」
年下のしかも男性にいいようにからかわれて情けない。葉君にも鈴君にも勝てないと諦めた。彼女を作ったらばかにされなくなるのだろうか。
二人はゆっくり離れてくれた。駅に向かって切符を買う時に一つの疑問があったので聞いてみた。
「ねぇ、鈴君。鈴君ならあんな二人簡単に倒せたんじゃないの? 」
自分が強いとは思っていないが鈴君の強さは知っているつもりだ。葉君が捕まっていたとしても関係なく倒せた気がする。
「あぁ、そのことっすか。実は久しぶりにお洒落したんで忘れちゃったんすよ。だからそれが気になって・・・・・・」
「んっ・・・・・・忘れたって何を? 」
鈴君が恥ずかしそうにして、しゃがむように言ってきたのでしゃがむ。そうすると耳元で鈴君が囁く
「パンツっす・・・・・・」
そういうと鈴君は改札口に切符を通して先に待っている葉君の元へと向かった。俺はそれを呆然と見送った。
ゆっくりのんびり更新します。




