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44話 金曜日の日課

金曜日の早朝の日課は少しだけ違う。

いつものように5時に起きて準備運動をして日課のランニングへと向かう。途中からいつものように鈴君と一緒に走る。ランニングのコースは川辺の道を越え、神社の階段を登り、降りた駐車場がゴールなのだが、本日も鈴君に勝てずに駐車場の自販機でジュースを買って鈴君に渡す。負けてくやしいわけではないが、一度でいいから勝ってみたい気持ちはある。


「大さん、お店の準備は進んでるんっすか? 」


「うーん、少しずつだけど進んでると思う。鈴君が色々教えてくれるから助かってるよ」


感謝するように鈴君の頭を撫でる。おっさんに撫でられても気持ち悪いだけだと思うが、鈴君を見ていると元気いっぱいの犬のようでついつい撫でてしまうが、怒られたことは無い。


「じゃあ、大さん始めましょう♪」


「あぁ、よろしく頼む」


金曜日のランニングの後に、実戦形式の組み手を行う。ルールは相手が降参するか、背中が地面に着くかの2つだけ。打撃あり、関節あり、の何でもありだが情けないことにこれも一度も勝てたことが無い。勝負に負けると夜ご飯を奢ることになるので、ほぼ毎週金曜日の夜は鈴君に食事を奢っている。


力では鈴君に負けることは無いが、その力勝負に持っていかなければ勝つことができない。情けないことに掴もうとして気がついたら投げられて天井を見ていたり、掴もうとして気がついたら関節を決められていたりがいつもの負けパターンだ。


そして今日も関節を決められそうになっている・・・・・・


「大さん、どうっすか? 降参しても大丈夫っすよ? 」


じりじりと腕が真っ直ぐになり関節に負荷がかかりそうになる。奏は打撃はしかけてくるが関節攻撃はしかけてこないので耐久力は無い。


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・すぐに降参するわけには」


立ち上がり無理やり腕に纏わりつく足を離そうとするが、するすると背中に移動してコアラのように抱きつかれる。


「相変わらずデカイ背中っすね。まな板必要なさそうっすね♪」


背中に手をまわして捕まえようとした瞬間に手首を掴まれ捻られ、力が入れられない状態でギリギリと後ろに手を引かれる。抵抗できずにゆっくりと背中が地面に着く。今日も負けた。


鈴君に夜ご飯のお店の場所と時間を聞きそのまま家へと帰る。金曜日は基本、奏の仕事が休みなので葉君も家には来ない。葉君が来ないから金曜日は外食が多いのでちょうどいい。


家に着くといつものようにシャワーを浴び濡れた体をタオルで拭く。鏡に写る姿を見つめて溜息をつく。こんな傷だらけの身体のおっさんを好きになってくれる人はいるのだろうか? 


好きな相手がいなかったわけではない。告白したが上手くいかなかった。いつしか、こんな俺を好きになってくれる人などいない。そう決めつけて気がついたら50歳間近になっていた。今度、結婚した先輩として葉君に女性へのアタックの仕方を聞いてみよう。

ゆっくりのんびり更新します。

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