2244話 これから2
振り返ってみる
お店の掃除をしながら店内の様子を見つめてまた掃除を再開する。
葉君と出会ってなかったら今頃なにをしていたんだろうとふと考える。
こうやって接客業をすることなんて無かったんじゃないかと勝手に思っている。
前の仕事に関しては辞めていたことには変化は無かったと思っている。
今の俺なら辞めていなかったかもしれないが昔の俺のままでは結果は一緒だったんじゃないかと思う。
仕事を再び始めるにしてもすぐには行動しなかったんじゃないかと思う。
貯金があるとか旅行がしたかったとかそういうことではなく
前の俺にはやりたいことが無かったからだ・・・・・・
年齢的にも再就職は難しいだろうし所謂ブラックと言われている仕事にしか就けなかったかもしれない・・・・・・
それでも俺は黙々と続けていけるんじゃないかという変な自信のようなものがあった・・・・・・
だからこそ本当に意味もなくただ時間とお金だけ浪費する旅行をしてなんの意思もなく再就職して老後まで働いていたんじゃないかと思う。
もう片方の道を歩いている俺を想像して寒気がするとかそういった感情はない。
もう片方の道に進んだ俺は後悔なんてしなかったと思うからだ。
それは不幸なことなのか幸福なことなのかは分からない。それを決められるのは俺だけだからな。
ただその道には葉君を含めた皆が居てくれる。
皆は離れてしまっても葉君は側に居てくれるんじゃないかと勝手に思ってしまっている。
「ふぅ・・・・・・」
我ながら気持ち悪い考えだなと苦笑する。
これから先のことなんて分からないけど今まで通り葉君とならなんとかやっていけると思う。
お店の経営が苦しくなったらお店を閉めて他のことを考えればいい。
一つのことにこだわらずに色々やってみればいいと思う。
俺の残り少ない人生に葉君を付き合わされてしまうのは申し訳ない気持ちにもなるが、ついてきてくれるなら一緒に進んで行こうと思う。
大きく深呼吸して部屋を見つめて掃除へと戻った。
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