2235話 告白のこたえ7
伝える
「葉君部屋にいるのかな?」
「・・・・・・・・・・・・」
扉越しに反応は無かった。
話したくないと言われても仕方ないことをしたんだから声が返ってこないのは自然なことだと思う。
「なにも答えなくていいから俺の言う事を聞いてくれるかな?」
「・・・・・・・・・・・・」
反応はないが葉君がそこにいるのはなんとなく感じることができた。
なんの確信もないけど扉越しに葉君が俺の話を聞いてくれていると思えた。
「葉君、あんなことを言って本当にごめん。謝って許されることではないと思うけど本当にごめん。奏から話は全部聞いたよ・・・・・・知らないのは俺だけで色々な人に迷惑をかけたよね・・・・・・許してくれなくてもいい、葉君と話がしたい」
『ガチャ・・・・・・』
少しして扉がゆっくりと開いていく。
中に入っていいということだと感じて部屋の中へと入っていく。
「葉君・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
部屋の中に入ると布団を頭から被っていて顔が見えない葉君が座っていた。
「部屋に入れてくれてありがとう。本当は会いたくなかったかもしれないけど会ってくれて嬉しいよ」
なにを都合のいいことを言ってるんだ。
泣いている葉君を追いかけもしなかった俺が会いに来ること自体間違っている。
それでも俺は葉君に謝らないといけない。
言葉を伝えないといけない。
もしかして謝ることで自分の気持ちを楽にしたいだけなのかもしれない。
ただ、それでも俺は傷つけてしまった葉君をそのままにしておくわけにはいかない。
「葉君のことを傷つけてしまって本当にごめん・・・・・・」
床に頭をつけて謝罪する。
許してもらえるなんて思っていない。だけど少しでも葉君の気持ちが晴れるならそれでいいと思う。
「・・・・・・大兄は・・・・・・悪くないよ・・・・・・」
久しぶりに聞いた葉君の声に頭を上げる。
布団を被ったままで表情は分からないけど間違いなく葉君だ。
この何度も聞いてきた声を間違えるわけがない。
ゆっくりのんびり更新します




