2233話 告白のこたえ5
会いたい人
『ゴクッ・・・・・・』
唾を飲み込む音がかなり大きく聞こえる。
葉君の家には何度か来たことがあるけどこんなに緊張したことはない。
インターホンを押さないままで家の前に立ったままでいるわけにもいかないので深呼吸をしてからインターホンを押す。
インターホンの音が鳴り終わって声が聞こえるまでの間がこれまで感じたことがない長さのように感じた。
『あらあら大ちゃんじゃない、なにか家に用事なのかしら?』
葉君の母親の声がいつものように明るく聞こえるが何故か攻撃されてるような痛みを感じる。
「あの、葉君に会いに来たんですけど会わせてくれますか?」
『・・・・・・・・・・・・』
返答が無いので緊張感だけ高まっていく中で声が返ってくることはなかった。
その代わりに
「中に入って大ちゃん」
扉が開いて葉君の母親が声をかけてくれる。
いつも感じる優しい雰囲気とは違って、明らかにこちらを警戒しているような痛々しい視線を向けられているように感じる。
「失礼します」
葉君に会いに来たんだ。
ここで引き返すわけにはいかない。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
運んでもらった湯呑みに手を伸ばしてお茶を飲む。
いつもなら感じるような味を感じることはなくて本当にお茶を飲んでいるのか不安に感じた。
「それで今日は葉ちゃんになんの用事があってきたのかしら?」
「葉君に伝えたいことがあって来ました」
「葉ちゃんに伝えたいこと?でも葉ちゃんは家に帰ってきてないのよね・・・・・・てっきり大ちゃん達の家にいると思ってたから」
葉君がここにいない・・・・・・
あんな表情をした葉君がどこかに行くとして変なやつに声をかけられて・・・・・・
心臓の音が大きくなって早く動いているのが分かる。
「葉君が死んだら俺も死にます」
床に頭をつけて土下座して母親にそう告げて玄関に向けて走り出した。
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