2227話 告白6
自分は大した人間ではなく
「僕は大兄のことが好きです。愛してます大兄」
葉君の言葉が静かな空間に響く。
その言葉を聞いて理解するまで数秒かかった。
体感だと数分かかっていたのかもしれない。
前に一度葉君に告白されたことがある。
それを俺は断ったうえで今まで通り過ごしたいと伝えた。
告白した相手からしたら凄く残酷な言葉だったはずだ。
それなのに葉君は俺の言葉を聞いてそれを受け入れてくれた。
なにも変わらずそのままずっと・・・・・・
そんなことを考えていたが、やっぱりそういうわけにはいかないんだなということを受け入れた。
前の葉君と今の葉君では全く違う。
奏と結婚しているかしていないかで言葉の意味は変わってくる。
奏と別れて俺に告白するということは葉君がそれだけ本気と言うことが言葉以上に伝わってくる。
それに奏が怒り狂って俺に襲いかかってこなかった所から考えるとそれを認めているということだ・・・・・・
奏と葉君を別れさせてしまったのは俺ということになる・・・・・・
あんなに仲のよかった2人を別れさせてしまった。
その上で葉君と付き合うことになったら俺はどんな顔で奏と接していけばいいんだ?
葉君の家族はどう思う?
「なんで俺なの葉君?俺は奏と葉君を別れさせるほど大した男なんかじゃないよ・・・・・・」
謙遜ではなく本心だ。
もし俺が葉君と付き合うことになったら、奏以上に葉君に愛情を注ぐのは難しいと思う。
それだけ奏は葉君中心の生活を送っていた。
俺にそれができるんだろうか・・・・・・
恋愛なんて何十年もしてこなかった俺が今から誰かを愛すことなんてできるんだろうか・・・・・・
なにより奏を不幸にして俺が幸福になることなんて・・・・・・
俺が浮かれることで奏がこの世からいなくなる可能性だってあるんじゃないか?
母さんと悠君の顔が頭に浮かぶと背中から寒気が全体に広がっていくのを感じる。
「そんなことないよ大兄!僕はずっとずっと前から大兄のことが好きだったんだから!!」
ずっと前から?
いつからのことなんだろう?
「でも葉君は奏と」
「そうだよね・・・・・・それも話さないと大兄は納得してくれないよね・・・・・・」
葉君の表情が曇るのが明らかな表情の変化で分かった。
ゆっくりと深呼吸をして落ち着いた葉君がまたゆっくりと話し始めた。
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