2209話 借り8
親の愛
「あらあらおかえりなさい葉ちゃん。意外に早く帰ってきたのね。もしかして大さんか奏さんと喧嘩しちゃったの?」
「いや、そういうわけじゃないよ母さん。ちょっと考えたいことがあって・・・・・・」
家にまた帰っても大丈夫かと連絡したら母さんは考える時間もなく『大丈夫よ帰ってらっしゃい♪』と即答してくれた。
その声が嬉しそうな声だったから安心して帰ってくることができた。
荷物を部屋に置いてキッチンに向かうともうご飯は出来上がっていて僕が手伝えることは無かった。
「ふふふっ、ここは母さんの場所なんだからそんなに簡単には奪えないわよ葉ちゃん♪それに母さんも父さんも葉ちゃんにはゆっくりしていてほしいと思ってるんだからのんびりしてなさいな」
完璧に家事を終わらせてしまっている母さんの前ではなにも言うことができなかったので言葉に甘えることにした。
「夕方からお仕事なら軽く食べて行きなさい。夜は夜で大さんとお店があるんでしょ?」
そう言って母さんは手作りのサンドイッチと紅茶を用意してくれていた。
「いただきます」
手を合わせてサンドイッチに手を伸ばして口に運ぶ。
母さんの真似をして作っているけど中々同じにならないなと料理の難しさを再認識する。
難しい顔をしている僕を心配そうに見つめる母さんを安心させるようにサンドイッチを綺麗に食べ終えて紅茶も味わった。
お腹が満たされて幸せな気持ちになると仕事に対する力も湧いてきた。
母さんにお礼を言って家を出た。
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