2207話 借り6
それぞれ
「話は終わったっすかね?それなら自分は行くっすよ」
そう言って残っていたホットココアの入ったカップを飲み干すと席から立ち上がる鈴さん。
なんだか会った時の表情より穏やかになっているのは気のせいだろうか?
「あっ、今日は来てくれてありがとうございました!!」
すぐに立ち上がり頭を下げる。
僕の声が想像より大きかったのか周囲の来店客の視線が一瞬集まるがそれもすぐに元へと戻り、周囲が様々な会話で埋め尽くされていく。
「自分はなにもしてないっすよ。ただ葉さんの選んだ道は困難な道になるっすよ・・・・・・手伝えることはないかもしれないっすけど話ぐらいは聞いてもいいっすよ」
そう言って鈴さんが微笑む。
手伝えることはないってことは応援もしないってことだと思う。
それでももし僕が逆の立場だったら同じことを言えただろうか?
多分言えないと思う。
鈴さんが告白したら僕も告白する。
そうやって無理やりにでもイーブンに持ち込んで行ったと思う。
自分と鈴さんの考えの違いに僕が本当に大兄と一緒になっていいのかなって思うけど答えは決まっている。
奏さんの気持ちを無駄にするわけにはいかない。
後は僕が大兄に気持ちを伝えるだけだ。
残っている紅茶を飲み干して深呼吸すると一気に体から力が抜けていくような気がした。
ゆっくりのんびり更新します




