13話 殺意からの脱出
周囲から注がれる殺意の視線。それを助けるかのように救いの女神が現れたとおもったのだが・・・
何なんだいったい?理由が分からない。ただ殺意の真ん中にいるのは間違いなかった。何か選択を間違えたか?嫌、そんなはずはない。最善策を選んだはず。そう自分に言い聞かせる。そうしなければ冷静にいられなかったからだ。
「死ね死ね、そして死ね」
「ただでさえ可愛い彼女と一緒なのに、ミクたんやシホたんまで」
「何だ、あの筋肉野郎、冷蔵庫かよ!!」
「おっさんが何故モテる!?変われ!?」
様々な罵詈雑言と殺意の視線を浴びながら更に俺は周りから注目されることになる。
「大兄、来てたの」
葉君がいつものように膝に乗ってゴロゴロと猫のように甘えてくる。
「葉君・・・今は・・・ちょっと」
「もぅ、お兄ちゃん、皆の前では、よ・う・ち・ん」
頬を人差し指でついてくる。その瞬間、周りの殺意の圧力が上がった気がする。気のせいだ、気のせいだと自分に言い聞かせるが周りの殺意は消え去る事は無い。
「何やってるんっすか?ようさん!!」
鈴君が割り込むように膝に乗ってくる。何だこれ?どうすればいい?
「はい、死んだ、これはまじで死んだわ」
「・・・・何・・・・・・・・だと・・・?」
「おいおい、どれだけ現世で罪を重ねるつもりだ?」
「神に懺悔は済んだか?」
人間はこんなにも純粋な殺意が出せるのかと驚きながら、どうしようかと考える。とりあえずこの場を何とかする為に、2人には膝から降りてもらおうと思ったが、それを拒むようにむしろ抱きつく体勢になる。言うまでもないが殺意がさらに上がる。こうなれば逃げるしかない。葉君にはまた後でと伝えて、鈴君を抱えてレジでお金を払い逃げるようにして店を出て行く。
はぁ・・・しばらくは、この店には来ないほうがいいな。
今年もゆっくりのんびり更新します。




