2166話 変化35
少しずつ
「・・・・・・」
「・・・・・・」
最後のお客様を見送ってから店内の清掃を始める。
いつもなら葉君と雑談をしながらやっているけど今日はお互いに言葉もなく静かな店内に掃除道具が動く音だけが響く。
剣さんが心配していたような喧嘩をしているわけじゃないのに言葉が出てこない。
なにかを話そうと考えているうちに掃除は終わってしまった。
いつもなら葉君と一緒に夜ご飯の材料を買いにスーパーに行ったりするが、終電に間に合わなくなってしまうので葉君は2階へ着替えに向かっている。
「はぁ・・・・・・・・・・・・」
無意識に大きな溜息が出る。
いつもみたいになんでもない話をすればいいだけなのになんで言葉が出てこないんだろう・・・・・・
しばらくすると少し慌てた足音が階段から聞こえてくる。荷物を持って降りてくる葉君の姿を見て入口へと向かう。
「一週間って思ってたより長いよね・・・・・・」
「あぁ、うん、長く感じるよ・・・・・・」
駅までの短い見送りの道の中で少ない会話をする。
「ねぇ大兄、一週間したら元の生活に戻っても大丈夫なんだよね?」
「もちろんだよ。奏も同じ気持ちだと思うよ」
「うん・・・・・・大兄は戻りたい?」
『もちろん』と即答していいのか迷って言葉が出てこない。
「ごめんね大兄。言わせるのは変だもんね。じゃあまた明日」
そう言って改札口を越えていく葉君の背中を見つめることしかできない自分に苛立ちを感じた。
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