2102話 経営者と管理者134
師弟
公園に近づくにつれて聞こえる音が大きくなっていく。
「どうしたんじゃ?かかってこんのか?」
「別に勝負に行ってないわけじゃないっすよ。隙が無いかどうかを探ってるだけっすよ」
どうやら声の主は鈴君と爺さんだったようだ。
最近鈴君がよく稽古に来ていると爺さんは言っていたけど、会うことが無い理由は朝来ていたからのようだ。
「ほれほれっ、そっちがかかって来ないんだったらこっちから行くぞい♪」
「相変わらずやらしい手つきと表情してるっすね、そういうのはもう引退する年齢じゃないんっすか?」
爺さんが近付いてくるのに対して少しだけ距離を取るように離れる鈴君。
構え方は若干違うがやはり基本的な構え方は一緒のようだ。何回も投げられている人間に分かることがある。
爺さんに用事があって来たが鈴君と爺さんの稽古が気にならないわけがない。
邪魔にならないように結果が出るまでゆっくりと見学させてもらうことにした。
俺とは違う攻め方をする二人がどう攻めるのか興味がある。そもそも二人の戦い方としては受けが主体だと思うから、どちらかが攻めなければ決着はつかないわけだから更に気になる。
鈴君の動きが止まると爺さんがゆっくりと距離を詰めていく。
爺さんから攻めて行くのは中々珍しい感じがする。
二人の様子をながめながら額から流れ落ちる汗を拭く。
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