2099話 経営者と管理者131
帰る前に
「もう着替えが終わったようには見えませんが?」
バーカウンターに座っている山田さんに声をかけられる。
「すいません山田さん。今日は葉君は上で寝ていくのでこのまま俺もここにいることにしたので挨拶しようと思って」
「そうでしたか。分かりました、またあちらの世界に行くようでしたらいつでも声をかけてください」
山田さんが立ち上がろうとするのを慌てて止めて再度座るように伝えると素直に再び席についてくれた。
「そう言えばこうやって山田さんに作ったお酒を飲んでもらうことってありましたっけ?」
「言われてみると数える程しかないような気がしますね。お店が開店する前とした後に数回ごちそうになった気がしますね・・・・・・」
山田さんは頭を掻いて寝癖を酷くしながら俺の質問に答えてくれた。
ジンソーダを作り山田さんの前に置いたコースターにグラスを乗せる。
山田さんはグラスを掴みゆっくりと口に含んでゆっくりと飲み干していく。
店内が静かなせいか飲み干していく音がよく聞こえるような気がする。
マスターや他のお客様とは違う変な緊張感なようなものを感じてしまっているのはどうしたものだろうか。
「最初に比べてとても飲みやすいです。ごちそうさまです」
「よかったです・・・・・・」
額から流れていた汗をタオルで拭いて一呼吸する。
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