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僕の運命を変えた2人 前編    

工藤葉君が大と奏に出会うきっかけとなった話しです。話しの本編を楽しむ要素の一つとして考えてもらえれば幸いです。嫌悪感などを感じたら読まずに本編へお進みください。

勉強は嫌いじゃない


友達もいないわけじゃない


苦手な先生がいるわけではない


部活動も嫌いじゃない


学校自体もどちらかと言えば好きだ


ただ・・・・毎朝起きるのはすごく辛く気だるいものだった。学校は嫌いじゃない、でも行きたくない、その反発した気持ちが僕の気だるさの原因だった。目覚まし時計の時間を見てこれ以上は遅刻してしまう時間だと思いパジャマ姿でお風呂場に向かう。さらさらとした綺麗な腰まで伸びた黒髪、大きな瞳に長いまつげ、洗面台にうつる自分の姿に溜息をつく。まるで女みたいだ。性別が男として生まれた自分にとってこの見た目はあまり好ましいものでは無かった。高校3年生になり成長期が終わる時期になったのに身長が伸びる事は無く、筋肉がつきづらいのか筋トレをしても筋肉がつくことはなかった。


なんで男として生まれてきてしまったのだろう・・・・・そんな考えても答えが出るものではなく変更することもできない問題を鏡を見る度に考えてしまう。嫌な気持ちを忘れようとシャワーを浴びて、タオルで体を拭く。自分の男性よりも女性に近いぷにぷにと柔らかい肌を写す鏡にまた溜息をつく。


制服に着替えてリビングに行くと母がお弁当の準備など忙しそうにしていた。父は早く出勤して遅く帰って来る。寡黙な人で身長が高くガッチリとした体型で小さい頃は自分もこんなカッコイイ男になるんだろうなと思っていたが現実は残酷で、母より身長が低く、母より女性らしくなっていた。


父や母、そして先生や友達にも相談できないことがあった。相談できればどれだけ楽になったか分からないが自分には相談する勇気が無かった。その話しを聞いた相手がどんな顔をするか想像しただけで、喉まで出かかった言葉は奥へと消えていった。ずる休みする事はできたが、それでは心配されてしまい、自分の悩みを打ち明けなければならなくなる日が来る。それだけは出来なかった。用意された朝ご飯を食べなければ心配されるし、作ってくれた母に悪いと口に含み、戻しそうになるのを我慢して無理やり胃袋に珈琲で流し込み、駅に向かう。


駅に近づく度に心臓の動きが早くなり、足が重くなる、



今日は大丈夫・・・・


今日は大丈夫・・・・


今日は大丈夫・・・・・


神様にお祈りするように自分に言い聞かせ電車を待ち、到着した電車に乗り込む。


朝のラッシュ時で少し息苦しい車内の中で背中に寒気が走る。そしてまた絶望が心を包む。誰とも分からない手が僕の腰を触る、そしていつものように手はお尻へと向かう。


そう・・・僕の心の気だるさはこの痴漢行為から来ていたのだった。

かなり不定期に更新しますので、気長にお待ち下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スムーズな導入で、3話目を読ませる良いきりかたでは無いでしょうか? [一言] ちょうどビリヤードバーの経営を題材に小説が書けないかと思って読み始めました。まだ冒頭だけですがこれから読み進め…
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