188話 マスターの怒り2
壊れていくマスター
疲れたのだろうか?ラビィが体を預けるようにもたれてくる。肩を優しく揉んであげると気持ちよさそうな声を出しながら耳をピクピクと動かす。その様子を見てさらに机を叩くマスター。
「どうしたんですかマスター?落ち着いてください」
「どの口が言うんですか。ラビィが嫌がっているから離れてください」
バーカウンターを手でバンバン叩きながら殺意の視線を送ってくる。確かにマスターの好きなラビィを俺が触るのは気に入らないはずだ。いつの間にか普通になっていて気がつかなかった。反省しないといけない。ラビィに離れるように伝えるが逆に抱きついて離れなくなる。
「むつき五月蝿い。私は大のこと好きだから全然嫌がってないぞ。それに思ったより大のマッサージは気持ちいい。むつきと違って力もあるし」
ラビィは見た目は子供のようだが、俺より長生きしている大先輩らしい。本当かどうか信じがたいがこの世界がある時点でそれを否定するのはおかしいのだろう。肩は鋼鉄のように硬かったので揉み解すのにかなりの力が必要だったが握力を鍛えるのにはいい鍛錬になりそうな気がする。確かに普通の人間にはラビィの肩を揉むのは苦しいかもしれない。
「私に力さへあれば・・・・・・力さへ・・・・・・」
本当に落ち込んでいるマスターに悪いと思うがラビィは膝の上から離れる気はないようだ。
「ガリィの帰りが遅いみたいだけど大丈夫かな?」
「ラビィを膝に乗せてるのにガリィの話をするのはどうかと思う」
不機嫌そうな瞳で見つめてくるがただ可愛いだけだ。ただこの可愛いさには耐性があるので慣れたように肩へのマッサージを続ける。
「ラビィだって心配だろ?基本は二人は一緒にいるような気がするんだけど」
「うーん・・・・・・昔は狩りに夢中になって帰ってこないことなんていっぱいあったし、ガリィがここ周辺の魔物に負けるはずがないないから心配はあまりしてない」
なるほど確かにガリィはかなり強いからなぁ。純粋な力なら互角に戦えるかもしれないけどスピードもあるからなぁ。勝てる気がしない。ただ心配なことは間違いない少しだけ探しに行くことにしよう。
「大・・・・・・ガリィのことを探しに行こうとしてる。夜に一人で出歩くのは危ないからだめ。寝ている魔物を起こしたりしたらかなり危ないから探しにいくなら明日の朝まで待って探しに行ったほうがいい」
疲れているのかそのまま眠ってしまった。このままでは風邪をひいてしまうかもしれないので部屋に運ぼうと抱き上げる。相変わらず軽い。
「ラビィを抱いたら殺しますからね」
「はぁ・・・・・・抱いたりしませんよ」
「何でだよ!!ラビィを抱きたくないって頭が壊れてるんですか!?」
支離滅裂な発言にため息をつく。
ゆっくりのんびり更新します。




