186話 食事をしながら妄想を (鈴君編)
おっさんのダメダメな妄想。
「よし焼けたぞ大、食べろ」
「口を開けてぇ大」
クロとシロが美味しそうに焼き上がった魚を目の前に近づけてくる。
うわぁ・・・・・・熱々だなぁ・・・・・・
1食べて口内火傷
2食べずに口に突っ込まれて口内火傷
3食べずに機嫌を損ねてシロの魔法で全身火傷
4食べずに機嫌を損ねてクロに全身サンドバック
口内火傷しないように食べるに決定する。
「ありがとう自分で食べられるから大丈夫だよ」
受け取ろうと手を伸ばすが魚が手の前から逃げ出す。
「口を開けろ大」
「口を開けてぇ大」
どうしても俺の口内を火傷させたいらしい。まぁ普通の人間ならここで口内火傷だろうが体を鍛えてきた俺からしたら問題ではない。
遠慮なくかかってこい!!!
口を開けると熱々の焼き魚が口内に侵入してくる。舌先に焼き魚から溢れ出る油が音を立てながら暴れまわるだけでなく焼き魚の頭が容赦なく内頬を攻撃してくる。
想像以上の熱さに悶絶しながら転げ回る
普通ならそうなっていたはずだが俺は普通じゃない。
味を確かめるように口を動かしてしっかりと喉に流し込んでいく。かなり油がのっていて濃厚な味が胃袋に落ちていく。奏に煮えたぎった鍋の具材を口内にいれられて口内中が水ぶくれになったのが懐かしい。そのおかげで異様に熱いものに対しての耐性がついて美味しく魚を食べられている。
食事を終えてまだ燻っている火種を見ながら鈴君のことも考えてみる。
「おはようっす大さん。いつまで寝てるつもりなんっすか?それとも布団から出れない理由でもあるんっすか♪」
ニヤニヤしながら布団を奪い取ろうとする鈴君
「どっちが似合うっすかね?どっちもって言うのは無しっすからね」
コスプレ衣装を自分に当てながらニヤニヤしながら反応を楽しむ鈴君
「死ぬ前に自分と一緒に居てよかったって思わせてやるっすからね♪」
告白を受けて嬉しそうにする鈴君
「体の至るところから葉さんの匂いがするっすけど内緒で出掛けたんっすよね?別に怒ってないっすけど自分と居るより楽しかったっすか?」
心配そうに見つめる鈴君
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・分かったっすから大さん・・・・・・自分の負けでいいっすから・・・・・・」
涙を流しながら許しを請う鈴君
大きく息を吸い込んでゆっくりと吐く。
空を見上げると暗くなり始めている。マスターの所に戻ってもう少し考えよう。
また今度二人を訪ねて屋敷に行くことを約束してプルプルの背中に乗って村へと戻っていった。




