183話 のんびりと釣りを
のんびり釣りのつもりが。
「よし着いたぞ大」
クロに言われて足を止める。大きな岩が並ぶ場所で水の流れも岩のせいで少し穏やかになっている。色々と釣り場があるらしいがこの場所は比較的に誰でも釣りをしやすいらしい。この辺り周辺はミミの土地らしく昔から色々な場所をまわるうちにこの場所も見つけたらしい。
「ミミ様は凄いんだぞ。仕事もできるし優しいんだぞ」
「でも相手を選ぶ目は弱い。むつき気持ち悪い」
岩場で釣竿に餌をつけながら二人の話を聞く。二人とも本当にミミのことが大切なようだ。まぁマスターも悪い人ではないんだけど、クロとシロからしたら嫌なんだろうなぁ。あれだけ好きなものを好きと言える気持ちは大事だと思うけど。
「よし、こんな感じかな。釣りはしたことないんだけど普通に糸を垂らせばいいのかな?」
餌を付け終えて岩場にあぐらをかいて座る。シロが当たり前のように膝に乗るのを見てクロも膝に乗ってくる。本当に仲がいいんだなこの二人は。
「そうだよぉ、夕方になったら起こしてね」
シロが当たり前のように眠りはじめる。
「こらシロ、すぐに寝るな。寝るなら教えてから眠れ。釣りのスキルはシロの方が上なんだから」
「ははっ、いいよクロ。寝むたいのを起こしたらかわいそうだよ。クロだって教えられるんだろ?一緒にしよう」
釣竿を渡すと嬉しそうに微笑む。クロと一緒に釣竿を垂らしながら魚が釣れるのをのんびりと待つ。川の静かな流れの音や鳥の鳴き声が心を落ち着かせてくれる。
何度か釣竿が揺れるので竿を引くが慣れていないせいか餌だけ食べられて逃げられてしまう。クロは竿を引くタイミングを調節していてもう何匹か釣り上げてバケツに入れている。釣れたら楽しいと思うけどこうやってのんびりとした時間を過ごせるだけで充分楽しい。
葉君や鈴君と釣りをしてもきっと楽しいと思う。俺にどちらかを選ぶことなんてできるんだろうか・・・・・・
「大、大!!」
クロに胸筋をバシバシ叩かれて釣竿に凄い引きが来ているのに気がつく。体が水の中に引っ張られる位なのに気がつかないとは情けない。危うく三人で川に飛び込む所だった。
「大、魚の勢いが弱くなるまで引かずに耐えろ」
釣竿が折れそうな位にしなっている。かなり腕に負担がかかかる、油断したら一気に持っていかれる、腹に力を入れて相手の体力が無くなるのを待つ。
ここからは我慢比べだ・・・・・・
焦らずにチャンスを待とう・・・・・・
ゆっくりと呼吸をしながらその時を待つことにした。
ゆっくりのんびり更新します。




