171話 答えを探して
頭の中には答えがでないことでいっぱい。
電車に揺られながら外の景色を眺める。全く興味がない景色が流れていくのをただぼんやりと眺め続ける。降りる駅のアナウンスが流れると体が反応して電車から降りる。
時間は22時を越えている。葉君がご飯を作って待ってくれているかもしれない。帰ったら心配されるだろうか?
いやいやそんなはずもないか。
電車に乗ってから駅について家に向かって歩く間、頭の中は鈴君の告白に対してどう答えるべきかずっと考えてしまっている。いつものようにからかっているだけだと思っていたけどそうじゃなかった。
『友達』に対する好きではなくて『恋人』に対する好き
何で俺なんかに好意を持ってくれたのだろうか。鈴君は俺に色々してくれる。仕事だって忙しいはずなのに俺の日課につきあってくれるし、お店のことで相談にも乗ってくれる。
それに正直な話、鈴君は可愛い・・・・・・
見た目はもちろん可愛いのだが・・・・・・性格も・・・・・・
多分・・・・・・
いや間違いなく俺はドMなんだろう・・・・・・
俺が鈴君を好きになることがあっても、その逆があるとは全く思っていなかっから考えが纏まらない。
いや・・・・・・考えても答えなんてでないだろう・・・・・・
でも答えを出さないといけない。答えを出さずに先伸ばしにするのは鈴君に対して失礼だ。
「ふぅ・・・・・・」
大きな溜め息を吐くと空に白い煙が舞い上がる。冬の寒さが意識を少しだけ醒めさせてくれる。冬はやっぱりいい。
家に着くとリビングに光がついていた。葉君だろう。玄関の扉を開けるとリビングの扉が開いて葉君が飛び付くように抱きついてきた。
「大兄・・・・・・どこに行ってたの・・・・・・すごく心配したんだからね」
「ごめんごめん、葉君が俺の心配なんてすると思ってなかったから。葉君は奏の心配だけしてくれたら大丈夫だから」
安心させるようにいつものように頭を撫でる。
「大兄・・・・・・どこに行っていたの?」
服を掴んで逃げられないようにして確認してくる。まるでどこに居たか知っているような感じがする。
「朝の日課の途中で倒れて、鈴君の家で休ませてもらっていたんだよ」
服を軽く引っ張られたように感じがする。気のせいだと思うけど
「なんで鈴さんの家なの?病院でもよかったよね?」
葉君が顔を近づけて来る。
いつも以上に怖い・・・・・・何でそんなに怒っているのか分からないから更に怖い・・・・・・
リビングから携帯の着信音が鳴り響く。
いったい誰からだろうか?葉君が手を離してくれないので着信音が切れるのを待つしかないと思っていたけが着信音は鳴り続けた。
ゆっくりのんびり更新します。




