170話 告白 後編(鈴side)
鈴君の素直な気持ち。
行動もそうだけど、言葉も自分の意思とは無関係に発していた。
「ねぇ大さん・・・・・・自分のキスマークを上書きしたのって葉さんっすよね?」
傷に指先を這わせ、そうでないと願いながら聞いてみる。『痒いから掻いただけだよ』そう言ってほしかったけど返ってきた答えは
「上書きって表現はどうかな・・・・・・葉君の悪戯だと思うけど・・・・・・」
はぁ・・・・・・
やっぱりそうだ・・・・・・
悪戯?そんなわけがない・・・・・・
自分だから葉さんの気持ちが分かる・・・・・・
誰にも取られたくない、自分だけを見てほしい、純粋とは言えないどす黒い欲望みたいなものだと思う。葉さんは違うかもしれないけど自分はその気持ちが日に日に強くなって大さんが家に来てその気持ちは爆発してしまった。
そして・・・・・・
「ねぇ鈴君、前に言ってた好きって・・・・・・異性に対する好きなのかい?」
ごつごつの男らしい手で頬を撫でられながら聞かれる。
そんなことは無いと思うけど、心臓の動きが一瞬止まった後に破裂するぐらい急激に動いたと思う。
大さんが好きかどうか聞いてくれている・・・・・・
しかも『異性』に対する好きかどうか・・・・・・
これは現実だろうか?
夢と言われても納得しないといけないかもしれない。
だけど夢だったとしてもこんな機会に巡り会うことはないかもしれない
だったら自分のやることはひとつだけ・・・・・・
自分の正直な気持ちを伝える・・・・・・
落ち着いて自分の気持ちをしっかりと伝えよう
断られたら・・・・・・その時考えよう・・・・・・
大さんの顔を見ると緊張で何も言えなくなる。顔を見ないように耳元で伝える。自分の伝えたかった気持ちを
「はい・・・・・・ずっと前から自分は大さんのことが好きでした・・・・・・気持ち悪がられても自分に嘘はつけないので・・・・・・」
耳元で囁くように伝えた後に急激に恥ずかしくなる。まずい、今すごくまずい顔をしている。顔を見られないように抱きつく。体の震えが止まらず動揺しているのが伝わってしまうと思う。そんな私の背中を大さんは優しく撫でて落ち着くのを待ってくれた。
「ねぇ鈴君、時間をもらっていいかな?自分の予想していた答えと違ったから少しパニックで」
大さんはいつもの口調でそう言ってくれた。
はぁ・・・・・・
好きになったのが大さんでよかった・・・・・・
ゆっくりのんびり更新します。




