161話 目の前の人物は
鈴君のお兄さんに挨拶します。
「そうだったわね。はじめまして私の名前は鈴谷音音。鈴の兄よ、よろしくね♪」
「俺は大石大といいます。よろしくお願いします」
手を差し出して握手する。見た目は細いのに手を握る力は強いしゴツゴツの感触が手のひら越しに伝わってきて若いのに大変な仕事をしているんだろうなと感じた。
「鈴が出勤前にあなたを連れてきた時はびっくりしたわよ。あなた体が大きいから二人で部屋まで運んだのよ、大変だったんだから」
「すみません、お二人にご迷惑をかけてしまって」
ベットから出て立ち上がりお礼を言う。時計の針は7時を指していた。何だあまり時間が経過していないようだ。
「ちょうど晩御飯の時間だからよかったら食べていきなさい」
「えっ、晩御飯?」
もしかすると夜の7時なのか?そうすると半日寝ていたことになる。携帯は家にあるから連絡はできないが、葉君が心配しているだろうか。いや、大丈夫だろう。おっさんが遅く帰ったとしても心配するはずもない。
「そうそう、シャツを貸してあげるからシャワーを浴びてきなさい。汗臭いともてないわよ」
鼻を押し当てて匂いを嗅いでくる。どうして可愛い子やイケメンばかり俺の匂いを確かめてくるのだろうか?加齢臭と汗の臭いで不快にさせてしまうのに・・・・・・
まだ頭がすっきりしないせいでふらふらと歩きながら教えてもらったお風呂場に向かう。洗濯かごに着ている服を入れさせてもらい浴室に入っていく。
「もぅ・・・・・・音兄・・・・・・また勝手に!!?」
浴槽には泡風呂に浸かっている鈴君がいた。
えっと・・・・・・
あれっ・・・・・・
そうだよね・・・・・・
鈴君の家だもんね・・・・・・・
時間も時間だしね・・・・・・
仕事終わりにお風呂に入りますよね・・・・・・
「あのっ、その、いやお兄さんからお風呂に入ってこいって言われて、鈴君が入っているって聞いてたら入らなかったから、だから、その、つまり」
「もぅ・・・・・・いつまで・・・・・・見てるんっすか?自分と一緒に入りたいんっすか?」
少し顔を赤くしながら、ゆっくりと立ち上がろうとする。
「いや、大丈夫、先に出るから!!」
浴室から出て扉を閉めて、下着とズボンだげ慌てて履いてシャツと上着を手に持ちリビングに向かう。リビングではエプロン姿で料理を机に並べている音音さんがいた。
「あらっ、凄い体ね。鈴が気に入るわけね。少し触っていいかしら♪」
音音さんが近づいて体の筋肉や傷を確かめるように触れてくる。全くいやらしい触り方ではなくて骨格を確認をするような触り方だ。計さんと似ている気がする。
「ちょっと音兄、何してるの!?」
目の前にはお風呂上がりでパジャマ姿の鈴君が不機嫌そうに立っていた。
ゆっくりのんびり更新します。




