151話 のんびり歩こう
葉君の好意でデートの練習をさせてもらっています。
「さぁ、大兄行こう♪」
葉君に手を引かれて建物の奥にある広い公園に向かう。かなり広い公園でレジャーシートを敷いてのんびりしている家族やアスレチックで遊ぶ人達、犬などのペットを散歩させている人達もいる。少し奥の方ではキャンプもできるらしい。
手を優しく握り返して葉君と一緒に歩く。
周りの人達は俺と葉君のことなんて気に止めず自分達のしたいことをしている。俺と葉君はどんな風に見えるのだろうか?
親子だろうか?
カップルだろうか?
それとも夫婦だろうか?
そんなことを気にしてもしょうがない。最近よくこんなことを考えているような気がする。
どうしたんだろう俺は・・・・・・
葉君は奏の旦那さんで俺にとっても大事な人。
鈴君は俺なんかに付き合ってくれる大切な友達。
だから俺が思っていることを二人が考えているわけがない。
「大兄、いい場所だね。誰かと来たことがあるの?」
「いや、プライベートでは1人で来たことしかないよ。仕事の時は上司や同僚の子とは来たことがあるけど」
「それって昨日商店街で話していた綺麗な人?」
葉君がじっと見上げてくる。握っている手の力が少し強くなり答えを聞くまで逃がさないと言う感じだ。
「あぁ、そうだよ。この先に取引先があって何回かここには来たかな」
「ふーん・・・・・・こんな感じで歩いたりしたの?」
「まさか、俺は怒られてばっかりだったよ。奏といる時と同じ感じで、葉君と歩いている感じで歩いたことなんてないよ。俺にこんな感じで付き合ってくれるのは葉君か鈴君だけだよ」
そういうと葉君が大きな溜め息をつく。何か悪いことでも言っただろうか?自分では分からないが葉君の仕草を見ていると何かしてしまったようだ。
公園を軽く一周する頃には時間はお昼を少し回っていた。少しお腹が空いてきたので葉君に確認すると同様にお腹が空いたと言ってくれたのでフードコートに向かう。建物の中はフードコートとコンビニ、お土産屋さんなど色々な施設が集まっていてお昼時ということもありかなり混雑し始めた。週末であればもっと混雑するだろうと感じた。
「葉君、何か食べたいものはある?俺の食べたいものなら何でもいいと言うのは無しだからね」
「むぅ、先に言われちゃったかぁ」
少しむくれ顔でこちらを見てくる。
はい可愛い・・・・・・はいずるい・・・・・・はい卑怯・・・・・・
心の中でそう叫ぶ。
もし自宅だったら落ち着く為に迷わずスクワットしていただろう。その気持ちを押さえながら葉君が食べたいものを決めるのを待つことにした。
ゆっくりのんびり更新します。




