148話 デートの準備(葉side)
月曜日の朝の葉君の様子。
「それじゃあ、葉きゅん気を付けてね。襲われそうになったり襲われたら言ってね。大のやつを生まれてきて後悔するぐらいぼこぼこにするから。それから約束は絶対だからね!!!!」
「はい、心配しなくて大丈夫だよ奏さん」
奏さんが痛いくらいに抱き締めた後におでこにキスして帰っていった。いつもなら月曜日は奏さんと一緒に過ごすけど、今日は僕が大兄と一緒に出掛けたいと言ったら条件付きで納得してくれた。
髪の毛を後ろで結び気合いを入れてエプロンをつけて朝御飯を作る。
考えすぎかもしれないけど・・・・・・
大兄の首筋に付いたキスマーク
携帯の電池パックに貼ってあった頬と頬を擦り合わせて『LOVELOVE』と書かれていた、ふざけたプリクラシール・・・・・・
あれは鈴君が僕に『葉さんって結婚してるんっすよね?だったら大さんは僕と一緒になっても問題ないっすよね?』と言っているように感じた。
そもそも大兄との出会いは僕の方がずっとずっと先だったんだけど。それなのに後からひょっこり現れて僕の大切な人を持っていこうとする・・・・・・
違う・・・・・・
鈴さんは悪くない・・・・・・
世間の目なんて気にせず大兄と一緒になろうとしている・・・・・・
僕なんかよりずっと凄くて僕なんかよりずっと公平だ・・・・・・
だけど頭でも分かっていても心がそれを納得させない。
もしも・・・・・・もしもの話だけど・・・・・・
大兄が鈴さんと付き合うことになって一緒になるって決めたらここを出ていくと思う。優しく笑って頭を撫でて『葉君と一緒に居ると甘えてしまうから』そう言ってここから居なくなる。
想像しただけで目の前が真っ暗になって息が苦しくなって膝が震える。
冷蔵庫に体を預けて呼吸を整える。想像だけでこれだったら本当にそうなったら僕は大丈夫だろうか?立ち直ることはことはできると思うけど奏さんに迷惑をかけてしまう。奏さんや大兄には迷惑ばかりかけてしまっている。奏さんは僕のことを本当に大切にしてくれる。それこそ自分のことなんて気にせず僕のことを一番に考えてくれる。自分を大切にしてほしいと伝えたけど『葉きゅんのお願いでもそれだけはできない。私はもう二度と後悔したくないから』そう言って痛いくらいにきつく抱き締められた。
大兄や奏さんは、詳しくは話してくれなかったけど奏さんは死んでしまった弟さんに僕を重ねてしまっているところがあるらしい。見た目が似ているわけではないらしいけど。
そろそろ大兄が起きてくる時間かな、料理の準備が出来たら起こしに行くのもいいけど。本当なら日課のランニングに行っている時間だけど今日はまだ上で寝ている。
昨日は僕に長い時間付き合ってもらったし・・・・・・
5時にセットしていたアラームは僕が解除しておいたから・・・・・・
どれだけ最低って思われてもいい。土曜日の夜に帰ってきた大兄を見て思った。今日は鈴さんと会わせていけない。何となくだけどそんな気持ちになった。そう思ったら自然と体が動いていた。僕は何て卑怯者なんだろう。
そんなことを考えていると聞きなれた足音が階段から聞こえてくる。
「あの葉君、奏と一緒に帰ったんじゃ?」
欠伸をしながら大兄が現れる。朝御飯ができているから顔を洗ってくるように伝える。今日は大兄とデートだ。頭が真っ白になって無意識で言ってしまったけど大兄と出掛けるのはかなり久しぶりで楽しみでしょうがなかった。
ゆっくりのんびり更新します。




