147話 少しだけ遠出
今回の目的地は。
どこに行こうか迷う。葉君の行きたい場所に行こうと思っていたので更に迷う。水族館に行く気持ちにもならないしせっかくだから車でどこかに行くのもいい。
「葉君どこでも大丈夫?」
「うん大兄と一緒なら♪」
俺が死ぬまでに言われない言葉にランキングされている言葉をいただいた。
「じゃあ少し車で出かけようか」
「分かった。着替えてくるね♪」
嬉しそうに階段を上っていく。俺も着替えないといけない。ジャージが一番楽だがそうもいかなそうだな。シャツにパンツにコートを着て玄関で革靴を履く。
外はいい天気で出掛けるにはいい日だ。
「大兄、お待たせ」
30分程して葉君が降りてくる。
髪はポニーテールのままでキャップを被りパーカーに八分丈のパンツ姿で現れた。感想は言うまでもない。
可愛いです。俺の敗けです。
それによく見ると軽く化粧しているような気がする。葉君も鈴君も最近どうしたんだろうか?何か心境の変化でもあったのだろうか?だんだん綺麗になっていく。そんな二人に俺は触れていいのか心配になる。
「大丈夫だよ、行こうか葉君」
助手席の扉を開けて葉君が乗るのを確認してからエンジンをかける。ゆっくりと下道を走りながら高速道路の入り口に向かう。今日の目的地はサービスエリアだ。働いていた時に取引先や出張などで高速を使っている時によく休憩していたサービスエリアの中に雰囲気の良い場所があった。一人でいってものんびりできたから葉君が楽しんでくれるといいのだが。
「ねぇねぇ大兄、どこに行くの?」
高速道路に入ってから少しして葉君が尋ねてくる。鈴君もそうだったけど化粧をするとかなり雰囲気が変わる。顔をあまり見れなくなるからやめてほしいのだがそれを俺が言うのはどうかと思う。
「サービスエリアに行こうと思ってる。雰囲気がいいせいかお客様もいっぱいいて中々良いところだよ。他の場所の方がよかったかな?」
鈴君同様に顔をあまり見れないの正面を見たまま話す。
「サービスエリアかぁ、普段行かないから楽しみ。ねぇ、大兄・・・・・・僕の顔を見てくれないけどやっぱり変だよね?」
俺のコートの袖を掴んでいる葉君の手が軽く震えているのを感じて不安を感じていることが伝わってくる。葉君の気持ちが分からない。そもそも考えたところで分かるわけもないのだが。
デートって言っていたな・・・・・・
そうか!!
葉君は俺が彼女が出来た時の為の予行練習をしてくれているのか。それなら説明がつく。せっかく奏との時間を無くしてまで俺の為に時間を使ってくれているんだ。今日は精一杯頑張ってみよう。
「葉君がいつもより可愛いからあまり見れないだけだから気にしないで」
そう言って震える手を上から優しく握り返した。
ゆっくりのんびり更新します。




