146話 約束の月曜日
目を覚ますと予想外の状況で。
布団の暖かさに甘えてしまう季節になった。日課に出かける為にも起きないといけないと思いゆっくりと体を起こす。
布団の外はかなり寒いが気合いを入れて立ち上がる。時計は7時を経過していた。5時にタイマーをかけていたが寝不足のせいか起きれなかったのだろう。
まぁ、約束しているわけでもないし鈴君には明日会ったら謝ることにしよう。いや、謝るのも変だろうか。
そんなことを考えながらゆっくりと階段を降りていくと良い匂いがリビングから漂ってくる。いつもなら葉君は帰っているはずだけど。そう思いながらリビングに向かうと、そこに居るのが当たり前のように長い黒髪をポニーテールにしてエプロン姿の葉君が朝御飯を作ってくれていた。
「あの葉君、奏と一緒に帰ったんじゃ?」
「その様子だと忘れてるよね大兄。今日は僕とデートしてもらうからね。ほらご飯出来たから顔洗ってきて」
頭がぼーっとしている中、箪笥からタオルを取り出し顔を洗う。鏡に映る首筋の傷が少しムズ痒い。鈴君も葉君も何でこんなことを・・・・・・
もしかしたら俺のことが好きだったりするのだろうか・・・・・・
そんなことを考えているとふと昔に付き合っていた女性のことを思い出す。
やめたやめた
ろくな思い出じゃない・・・・・・
それに葉君と鈴君に失礼過ぎる妄想だ。冷たい水で顔を洗いタオルで拭いてリビングに向かう。
「さぁ、食べて大兄」
机に用意された朝御飯はコーンスープにサラダ、目玉焼きにウインナーそして焦げ目のしっかりついたトーストにバターがたっぷり塗られていた。思わずお腹が鳴る。我慢できずにトーストを噛ると、口の中にバターとトーストのいい香りが広がり胃を通過していく。昨晩あれだけ食べたのに葉君のご飯はいくらでも食べられるから不思議だ。美味しそうに食べている姿を葉君が微笑みながら見つめている。何かおかしなことをしただろうか?
「ふふっ大兄、急いで食べると喉につまらせるよ。おかわりならあるからゆっくり食べなよ」
「んっ、奏がいないみたいだけど?」
いつもなら取り合うように食べるので急いで食べていたが奏の姿がない。どこにいったんだろうか?
「奏さんには帰ってもらった」
「えっ、奏が!?月曜日の休みを葉君と過ごさない!?」
「まぁ、その・・・・・・奏さんにお願いしたから・・・・・・」
何だか歯切れが悪い。葉君の様子を見る限り中々大変だったのかもしれない。あまり深くは聞かない方がよさそうだ。
食後の珈琲を飲みながら葉君に行きたい場所を聞いてみると、何処でもいいらしい。その答えが一番困るのだが。頭を掻きながらどこに行くべきか考えることにした。
ゆっくりのんびり更新します。




