145話 過ぎていく日曜日 夜
葉君は立派な主夫です。
「葉君、怒ってる?時間には遅刻してないと思うけど?」
「もぅ、大兄って本当にあれだよね。だから僕とか鈴さんが大変なのに」
この会話に聞き覚えがあるような気がする。スーパーの前に到着するとやっと腕を離してくれた。
「ほら大兄、大兄もかご持って」
葉君にかごを渡されて一緒に中に入って行く。中は少し狭いので俺には少しきついので他のお客様の邪魔にならないように気をつけて葉君についていく。お目当ての特売品はお一人様一つだったので二つ買えたと葉君は上機嫌だった。
会計を終えて袋を持って駐車場に向かう。荷物を後ろに置いて葉君が乗ったのを確認してから車を走らせる。今頃奏が家でだらだらしているだろうか。
家に戻るとリビングの光がついていた。予想通り奏がのんびりしているのだろう。荷物を持って葉君と玄関に向かう。
「おかえり葉きゅん♪」
奏がリビングから扉を壊すくらいの勢いで現れて葉君に抱きつく。葉君は抱きついてくる奏の頭を撫でて落ち着くのを待つ。
どっちが年上か分からない。
しばらくして奏が落ち着くのを確認すると、キッチンへと向かう。俺も袋を持ってついていく。袋を葉君に言われた場所に置いて手伝うか聞いてみると僕の楽しみを奪わないでと怒られたので素直に甘えてソファーに向かう。
「なぁ大、お前今年はクリスマスどうするんだ?」
「今日、会社の上司に会って今年も会社の飲み会に参加しないかって言われたけど辞めた人間がほいほいと顔を出すのもなと思って。鈴君にも誘われているけど鈴君には多分相手ができると思うから一人でよく行く場所で外食しようかと思ってるよ」
「それだったら私と葉きゅんと3人で食事したらいいだろ?ムカつくけど葉きゅんんはお前が居た方が楽しそうにするからなぁ」
不意に腹にストレートを入れてくる。座った体勢からこの威力とはさすがと言わざるをえない。
「クリスマスに夫婦の食事に割り込むほど俺も無神経じゃないよ」
そう言って断ることにした。
「そうか、まぁ私の予想だと鈴君には予定が入らないと思うけどな。まぁ決めるのは大だからな。もし鈴君との予定が無くなったら3人でクリスマスパーティーしよう。別に葉君が居なくなるわけじゃないし久しぶりにお前と吐くほどシャンパンを飲むのも楽しそうだしな」
そう言いながら背中をバンバン叩いて笑う姿に俺よりもイケメンだなと思う。葉君が結婚した理由も頷ける。
「お待たせ♪」
葉君が作ってくれた料理が机に並べられる。
「いただきます」
二人でいつものように奪うように葉君の料理を堪能した。
ゆっくりのんびり更新します。




