144話 過ぎていく日曜日 夕方
ありすさんと話すことに。
「へぇ、そうか、そうなんだぁ、へぇ、仕方ないやつだな大は」
「その、一応ですけど食事の誘いはあるんですけど相手には一緒に過ごす相手ができると思うので」
ありすさんが腕を組み目をつむり何かを考えている。どうかしたのだろうか?
「その、なんだ、もしよかったら会社の飲み会に参加しないか?前に大に会った話をしたら皆も会いたがってたぞ」
「そうですか。ありがたいお誘いなんですが逃げ出した人間が顔を出すのは申し訳ない気がするんですが」
その直後にありすさんの拳が腹筋に打ち込まれる。相変わらずいい角度で入ってくる。
「男のくせにぐだぐだ、その性格を直せっていつも言ってただろ。そんなんだから彼女の一人もできないんだよ」
「それはそうですけど、ありすさんに俺が彼女ができないのは関係ないですよね。それに女性なんですからあまり暴力はよくないですよ」
「ばっ、関係あるとかないとかじゃなくてだな、お前がまだ鍛えてるか確認しただけだ。相変わらず鋼みたいな腹筋して、どれだけ鍛えてるんだよ?」
そういってお腹を優しく叩いてくる。本当に懐かしい。俺が働いていたときに俺にしていたことを他の社員にしていたのを見たことがないから大丈夫だと思うけど。
ありすさんは簡単に言うと綺麗だ。性格はかな・・・・・・少しきついけど仕事は出来て面倒見もよくてスタイルもいい。それなのに誰かと付き合っているという話を聞いたことがなかった。まぁ、高嶺の花という感じで誰も声をかけられないのかもしれないけど。俺に関しては嫌われていたから論外なのだが。
「ところで大はこんな所で何をしてるんだ?」
「待ち合わせをしてるんですけど少し時間があったのでふらふらと」
「その待ち合わせしてる相手が食事する予定の相手か?」
少し不機嫌そうに見つめてくる。この視線も懐かしい。ありさちゃんと話していた時によくこの瞳で見られていたな。そんなに心配しなくても俺がありさちゃんにちょっかいをかけることなんて無い。まぁ可愛い妹を心配する気持ちからだとは思うけど。こんなおっさんのことを好きになることなんて無いから大丈夫ですよありすさん。
「違いますよ。まぁ俺が頭が上がらない相手ですよ」
頭を掻きながら答える。そろそろ葉君が来る時間だろうかと思っていると葉君が店の裏口から出てくる。手を振ると葉君が近付いてくる。葉君が横に並んだので紹介しようとすると何故か腕を組んできたと思ったらそのまま引っ張るように連れていかれる。
「大兄、ほら行くよ。タイムセール終わるよ」
「ちょっと、葉君、何で怒って?」
何だろうか?この遊びが流行ってるのか?
「おい大、その子は誰なんだ?」
「恋人です。僕達急ぐので」
「ちょっ、大、どういう」
ありすさんから逃げるような形でスーパーに向かうことになった。
ゆっくりのんびり更新します。




