136話 週末の商店街2
鈴君の強攻撃。
鈴君が指差した写真を撮る機械を見つめる。恥ずかしい話だからこの機械を使ったことがない。そもそも写真なんて携帯でも撮れるのだからわざわざお金を払って撮る必要なんてあるのだろうか?しかしカップルが並んでまで撮るということは何か特別な理由があるのかもしれない。
「鈴君、あの機械がどうかしたのかい?」
まさかとは思うがあれをやりたいと言うことなんてないよな?
「大さん、あれで写真撮るっすよ」
袖を引っ張り俺を機械の前まで連れていく。抵抗しようにも何故か踏ん張れない。これも合気道の技の一つだろうか。
想像より大きい機械なんだな。何台かある機械はどれも近くでみると大きいものが多かった。暖簾のようなものを捲って二人で中に入る。外からは気がつかなかったが中は眩しいくらいだった。なるほどそれで暖簾で光が漏れないようにしていたのか。恥ずかしい話だがこの機械を使ったことがないのでどう使っていいか分からない。鈴君が説明を見ながら操作をしている。情けないが見ていることしかできなかった。
しかしこんなおっさんと写真を撮ってどうするんだろうか?まぁ鈴君がそれでいいならいいのだけど。
「大さんそろそろ写真を撮るっすよ。ポーズポーズ♪」
「いや、急に言われても困るよ鈴君」
いきなりポーズと言われても思い浮かばない。ピースサインとかでいいのか?しかしおっさんのピースサインに需要なんてないよな?困った、どうしよう。そんなことを考えてあたふたしていると鈴君がお腹に抱きついてくる。
んっ・・・・・・あれっ、どういう状況だ?
その直後にシャッター音がする。
お腹に抱きついている鈴君は今まで見たことがないような悪い顔をしていた。
「ふふっ、何っすかこの腹筋は?クルミが割れるぐらい硬いっすよ♪」
腹筋を柔らかい指先で撫でてくる。いつもとは違う鈴君の雰囲気に背筋に電気が走る。
まずい、何だかまずい、俺の全身の筋肉が警報を鳴らしている。
「ふふっ、大さんしゃがんでください♪」
危険な感じがしてしゃがまいようにしていたが手首を掴まれて気がついたら体勢が崩れて床に膝をつく体勢になっていた。その直後に鈴君が後ろから抱きついて頬と頬を合わせてくる。
うわぁ・・・・・・
柔らかいしいい匂いがする・・・・・・
あかんやろこれ・・・・・・
頭が真っ白になっていると鈴君が離れてまた画面に触れて操作している。しばらくすると出来上がった写真が出てくる。その出来上がった写真をにやにやしながら俺に見せてくる。出来上がった写真は綺麗な鈴君とそれに緊張している情けないおっさんが写された写真だった。
ゆっくりのんびり更新します。




