134話 デート当日2(鈴side)
鈴君の準備。
「鈴が今日デートする相手ってとっても大事な相手なんでしょ?お節介だけどちょっとだけメイクしてあげるわよ」
「ふぇ、いいっすよメイクなんて。自分は男っすから」
音兄に頼まれてメイクをされることはあった。でもそれは室内だけの話で、メイクをして外に出たことはなかった。大さん以外に可愛いと思われても何の意味もないっすから。
「あらぁ、大切な相手には綺麗な姿を見てほしいでしょ?目のクマを消すぐらいよ、いいでしょ鈴?」
音兄に心配そうな目で見られると断れなくなる。確かに大さんに心配させたくない。音兄に感謝してメイクしてもらうことになった。椅子に座りゆっくりと目を閉じる。使い古されたメイク箱を持ってくる。メイクの師匠から貰った大切なものらしい。新しくて良い物はいっぱいあるけどそれを買うつもりは全くないらしい。使い古されたメイク箱は所々傷が入っていてボロボロだけど丁寧に清掃されていて何だか素敵だった。
メイクが始まり顔に手と道具が触れる。他の人にメイクをされたことがあるわけではないけど音兄のメイクはとっても優しくて丁寧で少し眠くなってしまう。
「終わったわよ鈴♪」
寝てしまっていたようで目を覚まして鏡を見つめると目の下のクマがしっかりと消えていて軽く口紅も塗られていて少し色っぽい顔をした自分が映っていた。
「ちょっと音兄、がっつりメイクしてるじゃんか!!恥ずかしいよ」
「ふふっ、いいじゃない鈴。可愛いわよ、愛してるわよ♪」
後ろから優しく抱き締めてくる。全く悪気は無いので気にしない。
「私はこんなことしかしてあげれないけど頑張りなさいよ。まぁ、鈴が可愛すぎて襲われないか心配だけど♪あっ、それとも襲われたいとか?」
音兄に言われて大さんに襲われる想像をしてみる。両手首を鋼鉄のような腕で掴まれて自由を奪われて自分が抵抗しようとしても耳元で『無駄だよ鈴、これから脳ミソが溶けるまでぐちゃぐちゃにするからね、泣いても叫んでもいいよ・・・・・・興奮するから』と囁かれてむちゃくちゃに・・・・・・
だめだこれ・・・・・・やばい・・・・・・
「ふふっ、本当に好きなのね。まぁ、頑張って来なさい鈴」
「ありがとう音兄、行ってくる」
部屋に戻りデートに着ていく服を選ぶ。女性用の服もあるけどいつも着ているラフな服装にした。変にお洒落をするよりいい感じがする。まぁ、大さんがあたふたする姿を見るのも楽しいっすけどね。
少しにやつきながら音兄に見送られて家を出る。今日はいい日になるといいな。
ゆっくりのんびり更新します。




