123話 雲への道のり
説得開始。
「その、あまり人前でホテルに行こうとか言うのはあまり良くないというか・・・・・・」
「そうなんっすか?自分の気持ちを伝えただけなんっすけど」
腕に抱きついたままで見上げて反応を楽しんでいる。
困った・・・・・・
こうなるとどう返せばよいか分からない。でもちゃんと伝えておかないと鈴君がいつか危険なめに会うかもしれない。俺は鈴君がからかっているだけだと分かっているから大丈夫なのだが
男性だと分かっていても鈴君は可愛いと思う。
だから鈴君が俺にするように他の人をからかったら勘違いする人は出てくるはずだ。そのことをしっかり伝えておかないと
組んでいる腕を優しく掴み腕から離して膝をついて鈴君の両肩をしっかり抱き締めて瞳を真っ直ぐ見つめる。
うわぁ・・・・・・顔小さいな・・・・・・まつ毛も長くて・・・・・・
そうじゃなくて
両肩を逃げられないように握り顔をゆっくり近づけて耳元で囁く
「誘ってきたのは鈴だからな・・・・・・ホテルに行ったら朝まで付き合ってもらうぞ・・・・・・泣いても許さないからな」
囁いた後におっさんが何て恥ずかしいことを言ってしまったんだろうという気持ちと、気持ち悪いだろという気持ちで頭がくらくらする。
いや、だからこそ鈴君も危険な気持ちが伝わってくれたはずだ
「あの・・・・・自分・・・・・・初めてでうまくできないかもっすけど・・・・・・頑張るんでお願いするっす・・・・・・」
鈴君が涙目で頬を赤くして瞳を真っ直ぐ見つめて伝えてくる
んっ・・・・・・
えっと・・・・・・
あれあれ変だな・・・・・・
そっか、あれだ、それだ、またあれだ、鈴君が俺をからかっているんだな、そうだな、うん、やっぱり鈴君には敵わないという感じだな、うん、そうそう、俺の負け。
そんな軽いパニック状態になっていると後ろからふいに誰かが抱きついてくる。
「大師匠、ナンパはだめだよぉ♪」
振り替えるとトラブルメーカーで定評のある李音君だった。セーターにスカート、黒タイツを履きコートを着ている李音君が嬉しそうに抱きついている。いつから見ていたんだろうか?
「みゃはぁ、またお店に来てくださいねぇ。姉さんも僕も待ってますからぁ♪」
そう言ってそのまま商店街に向かって歩いていく。
「さぁ、行こうか鈴君」
「そ、そうっすね」
雲に着く頃にはいつものように何でもない会話をしていた。いつも李音君には困らされているが今日は感謝した。
ゆっくりのんびり更新します。




