122話 珍しく待ち合わせ
駅前で鈴君と待ち合わせ。
鈴君との晩御飯は中華料理屋の雲で食べることになった。いつもならお店に入って待っているのだが、たまには一緒に行くのもいいという鈴君の提案があり駅で鈴君が来るのを待っている。夜が近づいてくると駅前は人が増えてくる。
家族、友人、恋人、様々な人達が待ち合わせしていて駅前が埋まっていく。中にはナンパ待ちみたいな人もいるのだろうか。まぁ俺には関係無い話なのだが。
待ち合わせをしていたカップルの1組が駅前だというのに過激なコミュニケーションをとり始める。周りの人間が居づらそうにしてカップルから離れだす。俺も離れたいのだが間もなく時間なので離れるのも待ち合わせの場所を変えるのもの鈴君には悪いので仕方なく待つことにした。
「なにあの人、私たちのこと見てない?」
「モテなさそうだし、俺達のこと見て今晩のおかずにでもするんじゃない?」
そう言ってゲラゲラと下品な笑い声を上げながら、体を更に密着させて俺に見せつけてくる。
うーん・・・・・・困ったな・・・・・・
周りの人にも迷惑だし、鈴君には悪いけど待ち合わせの場所を変えようと携帯を取り出そうとした腕を止めるように誰かが腕を組んでくる。
腕を組んできた相手を確認する。
ポニーテールに黒淵眼鏡にマフラーを巻いてセーターにワイドパンツの上にチェスターコートを着ている。
一瞬誰か分からず戸惑っていると更に腕にぎゅっと抱きついてカップルに見せつけるように少し大きめの声で
「ダーリンお待たせ♪お腹空いてるけど我慢できないから先にホテルに行こう♪」
クスクス笑いながら俺の腕を引っ張るように商店街の中へと入っていく。
間違いない鈴君だ。
「あの、鈴君?もうあの二人がいるわけじゃないから腕を組まなくても」
「ふふっ、いいじゃないっすか?それとも自分と腕を組むのは嫌っすか?」
不安そうな瞳で見上げてくる
はぁ・・・・・・
だめだろその顔は・・・・・・
それに何だか凄くいい匂いがするし・・・・・・
「おいおいおい、どうしたどうした!?どういうことだ!?」
「悪魔との契約をしたのでしょう。死んだら地獄行き確定ですな」
「歩く筋肉山脈がいい加減にしろよ」
いつもの殺意の視線を浴び冷静になる。
鈴君は多分俺の反応を見て楽しんでいるのだろう。たださすがの俺も先程のカップルにはいい気持ちはしなかったので鈴君には感謝している。ただ人前でホテルに行こうというのは良くない。
「鈴君人前でああいうことを言うのは良くない」
「ああいうことって何っすか?分からないっすよ、ちゃんと言ってくれないと♪」
しまった・・・・・・この悪戯っぽい微笑みはからかっている顔だ。
ゆっくりのんびり更新します。




