3話 お店のコンセプト1
食事も終わり、本題のお店について話すことになりました。
「何だか訳あり物件らしくて大分安くお店は手に入りそうなんです」
食事を終えて葉君が淹れてくれた熱くて渋いお茶を飲みながら話を聞く。ビールのおかわりの提案は優しい笑顔で却下されました。
「元々経営していたお店をそのまま使うのであれば、初期経費は安くなりそうだね」
「はい、備品なども揃っているので後はお店のコンセプトですかね」
確かに一番大事なことだな。どんなお店にしたいか・・・・・・・・・
少し考えたがやっぱり思いつかない・・・・・・
そもそも少し前までやっていた仕事でさえ、目的も無くただただこなしていただけの自分が、何かあるわけもないのだが、昔は何かあった・・・・・・そんな気がする。
ここは提案者である葉君の話しを聞くのが一番いいと思う。
「葉君は何かある?」
「僕ですか?そうですね・・・・・・」
考えている感じもするが、何だか言い辛そうにしているようにも感じる。そもそも何かしたいことがあったから、自分に話しを持ってきたのではないだろうか?言いにくいと言う事は逆に何も無いのか?いや葉君の性格であれば最初の段階でコンセプトの話しをしているはずだ。それを言わないと言う事はやっぱり言いにくいことなのではないだろうか・・・・・・
「葉君、50を手前に仕事を辞めたおっさんに話しても、恥ずかしい事なんて何一つないよ。それにこんなおっさんに話しを持って来てくれただけでもありがたいよ。」
そういって頭を撫でる。こんなおっさんに頭を撫でられるのは嬉しいことなんて一つも無いと思うが、癖になってしまっているようで無意識に撫でてしまっている。葉君からおしかりの言葉をもらったことはないが妹の奏に見られたらぼこぼこにされるだろうなと苦笑する。
「その僕、バイトしてるの知ってますよね?」
「確か喫茶店だっけ・・・何か色々な衣装を着るやつだったかな?」
言葉が小さいのは言いにくいからだろうか?何一つ恥ずかしかる事も無いと思うのだが
「はい、アニメのコスプレ喫茶です。」
「そっか、葉君はアニメが好きだったね。仕事は楽しいかい?」
「はい」
即答する葉君を羨ましく思う。好きな事を仕事にしてそれが楽しい、この年になってそれがどれだけ凄い事なのか思い知らされる。となると葉君の考えるコンセプトはアニメBARみたいなことだろうか?しかし、自分はアニメを好きでも嫌いでもない、つまりは興味がないのだ、いや大抵の事には興味が無いのだが・・・・・・
ゆっくりのんびり更新します。