105話 異世界での初めての朝
目を覚ますと・・・・・・
とても柔らかいものに包まれてとても幸せな気持ちになる。それは暖かく柔らかく・・・・・・それにとてもいい匂いがした。これならいつまでも寝ていたいがそういうわけにはいかない。
いや・・・・・・今日ぐらいはいいか・・・・・・
起きる欲求より眠りたい欲求が強くなりまた深い眠りに落ちようとしたがもぞもぞと頬をくすぐる刺激に薄目を開ける。刺激する正体はガリィの犬耳とラビィの兎耳だった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
頭が冷静になり自分の状態を再認識する。えっと確か昨日はお風呂に入った後に外に逃げようとしたら二人に捕まって一緒に寝ることになって動けないように力で抱き締めてそのまま眠りに落ちて今に至るわけだが。この状態はどうだろうか?おっさんが力任せに一晩中、抱き枕のように可愛い男の子を抱き締めて逃げられないようにしていた。
あれ犯罪じゃないかこれ?いや犯罪だよな・・・・・・異世界だと裁判ってどうなんだろう?
「んっ・・・・・・っ・・・・・・大」
「筋肉・・・・・・大・・・・・・」
二人はまだ眠っているようだった。とりあえず二人から離れることにしよう。抱き締めていたのはこちら側からだったので力を抜くと二人から離れることは簡単にできた。二人は幸せそうな顔で涎を垂らして眠っている。良く見たら俺の体にもべったりついていたが二人の幸せそうな寝顔を見ているとこちらも幸せな気持ちになった。結婚して子供ができたらこんな気持ちになれるのだろうか?相手もいないのにこんな想像をする自分に苦笑する。眠気覚ましにシャワーを浴びようとしたが魔法が使えない以上はお風呂は使えない。どうしたものかと考えていると部屋の扉を誰かがノックする。マスターが帰ってきたのだろうかと扉を開けるとそこには山田さんが立っていた。
いったいどこに行っていたのだろうか?この人は本当にいつ居なくなっていつ現れるか分からない。
「マスターを探しに行く準備はできていますか?」
「その、できたらお風呂に入ってから向かいたいのですが」
涎まみれの服を見せて苦笑する。山田さんは服を見た後にベッドで幸せそうに涎を垂らす二人を見つめて一呼吸を終えて
「したんですか?」
「してません!!!!!!!」
全力で否定すると山田さんは冗談ですと眼鏡を触る。お風呂は魔法でなくても普通に薪と火で沸かせるということだったのでお願いしてお風呂に入ることにした。時間は少ない、マスターを見つける手がかりだけでも掴めるといいのだが。
ゆっくりのんびり更新します。




