99話 マスターは何処に?
マスターが居なくなってしまったようで。
「大、森でむつき見たか?」
ガリィが興味がなさそうに聞いてくる。もしかして入れ違いになってしまったのだろうか。お酒に使う果物を採りに森に向かったらしいのだが戻りが遅いようでラビィの代わりに探しているらしい。森から村までは一本道だしすれ違わないのもおかしい。気まぐれで何処かに行ってしまったのかもしれない。
マスターに会いに来たのに居ないとは困った。どうせ暇をしているし探しに行こうと決めてプルプルの頭を撫でる。
「山田さん少し行って来ます」
「無理は止めてくださいよ」
「俺も行くぞ」
ガリィがいつものように背中に飛び乗ろうとするとそれを邪魔するようにガリィの背中に足を乗せ踏み場にしてジャンプして俺の背中にラビィが抱きつく。
「ほらプルプル、スタート」
プルプルはラビィの指示通り走り出す。ラビィもガリィ同様に軽く背中に乗っていても苦にはならない。この短時間で森に戻ることになるとは思わなかった。森に着くとプルプルから降りて待っているように伝えてラビィを背中に乗せたまま探索を開始する。そういえば森を一人で歩き回ったことがない。今後のことを考えて少しでも地形を知っておいた方がいい。体と頭に地形を刻むように森を歩いて回る。分からないことや疑問に思うことをラビィに聞きながらマスターを捜索するが全く見つからなかった。
「ラビィ、マスターが他に行きそうな場所ってありそう?」
「むつきは体力無いから歩いて遠くに行けない。もしかしたら誰かに連れて行かれたか・・・・・・もしかすると・・・・・・」
はっとして、入口の扉に向かう。扉は鍵がかかったままだ。山田さんが鍵を持っているから出られるはずもないか。だとしたら本当に連れ去られたのか?いったい誰が何の為に?おっさんを?
「むつきの作るお酒人気。だから勧誘かもしれない。何度か誘いがあったけど全部断ってる。条件も良いし断る理由分からない」
うーんマスターの気持ちがラビィに伝わる日は来るのだろうかか・・・・・・
俺ならもし相手が好きという気持ちを伝えているのに、それに気がつかないことはないだろう。まぁ、こんなおっさんのことを好きになる人なんていないからその心配をする必要は無いのだが。
「探すにしても皆と相談。村に一度戻る」
「分かったよ」
良い子で留守番していたプルプルの頭を撫で背中に乗る。面倒なことにならないように祈りながら村へと戻っていった。
ゆっくりのんびり更新します。




