95話 百影にて3
開店前のお手伝いを。
お店が開く時間になったので李音君と計さんが開店の準備を始めだす。山田さんとの約束の時間までは少しあるので開店の手伝いをさせてもらうことにした。俺のせいで時間を使ってしまったのでこれで少しは返せればいいと思い手伝う。
「ふわぁ、やっぱり大師匠は力持ちだぁ♪」
「うん、うん」
李音君の指示を受けながら荷物を運んだり、店内の装飾の移動などを行う。
「李音君、あの指示してくれるのはありがたいんだけど携帯で写真を撮るのは何で?」
「ふふっ、この写真がお店の宣伝になるんですよぉ。嫌だったら止めますけど♪」
にやにや笑いながら下から見つめてくる。相変わらずの小悪魔っぷりを発揮してくる。本当に二人とも相手が勘違いするような仕草をしてくる。女性に慣れている人なら大丈夫だと思うが慣れていない人なら危ないと思う。計さんは無意識に李音君は意識してやっている。どちらもたちが悪い・・・・・・
計さんに伝えて分かってもらえたんだから李音君にも伝えたら分かってくれると思う。李音君との出会いはトラブルだったしこのままいけば、いつか大きなトラブルに巻き込まれるかもしれない。
「ねぇ、李音君は意識的に相手を挑発というか誘惑するのはやめた方がいいよ。勘違いする相手が出てくる」
「へぇ、勘違い?勘違いってどんなことぉ?僕って男だし勘違いしないと思いますよ」
「その、李音君は可愛いから勘違いする人が出てくる可能性があるんだよ」
「へぇ、じゃあ大師匠は僕に触られると興奮するってことぉ♪」
嫌な予感がする前に李音君が俺の腹筋に触れる。形を確かめるようにそして傷跡を撫でるように綺麗な柔らかい手が俺の腹筋を這うように動き回る。
こ・・・・・・これは・・・・・・思った以上にまずい気がする。こんなことをされたことが無いということもあるが撫でている李音君の表情も何とも言えず艶っぽい。このままでは完全にまずい。李音君の両手首を片手で掴み持ち上げ壁に体を押し付け逃げられないようにする。そして片手で服を脱がそうとするふりをして手をかける
「李音君、俺がこのまま襲ったらどうする気?これから先にこうやって力で勝てない相手とトラブルになることだってあるんだよ」
「気を付けるぅ・・・・・・でも僕は大師匠だったらいいよ・・・・・・」
危険だと体が感じて李音君から離れる。
危ない、危ない、危ない、
今のは本当に危なかった。李音君の潤んだ瞳や艶やかな吐息など、離れなければ危なかった。
「ふふっ、気をつけますねぇ大師匠♪」
そう言っていつものように小悪魔のように笑う李音君に自分の無力さを再認識させられた。
ゆっくりのんびり更新します。




