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93話 百影にて

計さんの作ってくれた服を着てみると。

電車から降りて改札口を抜けて商店街の入り口へと向かう。朝のピークの時間は過ぎているのでのんびりと道を歩いていける。お昼時と夕方からは想像が出来ない程の人が行き交うことになる。


「じゃあ大兄無理しないでね」


「葉君こそ無理しないでね」


葉君が仕事先に入って行くのを見送ってから百影へと向かう。そういえば営業時間が分からない。最悪開いていなければ時間を確認してから喫茶店でも行って時間を潰せばいいだろうと思い百影まで向かうことにした。


百影に着くと扉は閉まっていた。営業時間を確認する為に入口に近づく。どうやら昼から営業のようだが『店主の気分によって営業時間が変わります』と書いてあるのを見るとさすがあの二人だと感心する。扉から離れて喫茶店に向かうとすると扉が開く音がして後ろから抱きつかれる。李音君かと思って怒ろうとしたが背中に当たる柔らかい感触から計さんだと予想して振り返る。


「大さん・・・・・待ってた」


計さんは抱きつくというよりはもたれるという感じだった。不眠不休で服を作っていたのだろうか?李音君が居ないと本当に死んでしまうかもしれないと苦笑しながら百影の中に計さんを抱き上げて入っていく。


計さんを椅子に座らせる。目の下にできたクマや体重の軽さに心配になる。


「計さん、ちゃんと食べてちゃんと寝てますか?好きなことに打ち込むのもいいですけど倒れちゃいますよ」


「大さん、お母さんみたい。それより完成した服を着てみて」


先程までふらふらしていたのに服を持った瞬間に人が変わる。


計さんに渡された服は民族衣装のようだった。上着はヘソ上迄のピッチリした黒シャツに細かい装飾が散りばめられ黄色に白いラインが入ったズボンにも大きいものから細かい装飾がされている。


「大さん、着て、早く着て」


興奮した計さんが近づいてくる。少し着るのに迷うがせっかく作ってくれたものだし着ないでいると無理やり着替えさせられそうな勢いに服を受け取り試着室に入る。


服を脱いで作ってくれた服を着ていく。マスクでも感じたことだが着心地がかなりいい。見た目がタイトなシャツなので締め付けが厳しいと思ったが体に吸い付くようにフィットしている。ズボンも伸縮性がありかなり楽に履ける上に体に馴染む。デザインが派手でなければ普段着にしたいくらいだ。


「大さん、着替えた?」


入ってきそうな気配を感じて外に出る。自分では似合ってるかどうか分からないから計さんに聞いてみることにした。計さんは俺を見ると少し固まり店の奥へと入って行った。

ゆっくりのんびり更新します。

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