92話 日課のち商店街
いつもの日課を終えて商店街に向かう。
いつものように早起きして準備運動を開始する。運動が終わるといつもの道を走り出す。待ち合わせしているわけではないが待っていた鈴君と走り出す。
「大さん、昨日は来なかったっすけど何かあったんすっか?」
「昨日は葉君とお店のことで話していて気がついたらいつもの日課の時間が過ぎていたんだよ。もしかして待っていたりしたかい?」
「そうっすね。少しだけ。でも約束しているわけじゃないっすからね」
鈴君が少しだけ寂しそうな顔をして前を走る。この寒い中待たせてしまって申し訳ないことをした。いつものように階段をかけ上がりそのまま降りて駐車場に向かう。鍛えているつもりだが全く差が縮まる気がしない。あの小さな体のどこにあの体力があるのだろうか?負けた罰ゲームのジュースをいつものように渡して鈴君を見ていると
「どうしたんっすか?自分をいやらしい視線で見つめて。大さんなら付き合ってあげてもいいっすよ♪」
「いや、鈴君ならこんなおっさんより素敵な相手ができるよ。見ていたのはどうしたら鈴君に勝てるのかなと考えていただけだよ」
その言葉を聞いて少し不機嫌そうな顔になる。何か気の触ることを言っただろうか?考えても分からないので考えないようにした。鈴君は何で俺の日課に付き合ってくれるのだろうか。まぁ一人でやる訓練よりはという感じなんだろう。
家に戻りお風呂場に向かうと着替えとタオルが用意されている。本当に葉君には頭が上がらない。奏はこんないい旦那さんと結婚できて本当に幸せだなと思う。俺も葉君みたいな奥さんを見つけられるといいのだけど。
服を脱ぎお風呂場に入り少し熱めのシャワーを浴びる。走ること自体はあまり好きではないが鈴君と走るのは楽しいし、走った後に浴びるシャワーは格別だ。
リビングに向かうと葉君が朝御飯を用意してくれている。葉君には大変だからしなくても大丈夫とは伝えているけど俺に彼女が出来るまでは心配だからといって聞いてはくれなかった。葉君の負担を減らす為にも早く見つけないといけないなと頭を掻く。
今日は葉君と一緒に商店街に行くことになっている。葉君は仕事で俺は服を受け取りに百影に行った後に山田さんと物件を見に行く約束をしている。
「ほら、大兄行くよ」
「ごめんごめん」
葉君に急かされるようにして駅へと向かう。李音君と計さんのことを考える。何も起こらないといいけどと苦笑しながら電車に乗り込んだ。
ゆっくりのんびり更新します。




