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9.暴露そして剣術

精霊と契約した翌日の朝。

わたしは、気持ちよく朝を迎えた。

と思っていた。

「ユキ、早く起きないと遅刻するわよ。」

え……。わたしは、声のする方へ振り向くと制服を着ていたルミアちゃんが見えた。ついでに時刻を確認すると授業開始1時間前だった。

「ど、ど、どうして起こしてくれなかったのよ〜!」

わたしはルミアちゃんの制服の襟を掴んで揺さぶりながら、そう叫んでいた。

「あ、ごめん、ごめん。シャーロットはユキが気持ちよさそうに寝ているから起こすのはギリギリでいいんじゃない?って言うから。」

「そ、それは、昨日で十分だからっ!」

「ユキ〜、そろそろ落ち着かないとあなたの秘密バラしちゃうよ?」

え、秘密?ルミアちゃん、何を言って……。

もしかして、この世界の人間じゃないことがばれた?わたしは血の気が引く感じがした。動揺しているわたしをよそにルミアちゃんは、話を続けた。

「ユキが寝言で言っていたの……。」

ゴクリ。わたしは息を呑み、ルミアちゃんの言葉を待った。

「「お兄ちゃん、今日のご飯何?ぐへへ、そうなんだ〜。美味しそう。あは。」って言っていたのよ。今思い出しても、笑いがこみ上げてくるわ。ユキって、ぷはっ、お兄ちゃんっ子だったのね。」

え、そっち?いやいや、この寝言もバラされたら結構痛いもの扱いされちゃうよー。でも、絶対わたし、ぐへへなんて言ってないよ!……多分。

ていうかルミアちゃん、笑いすぎだよ。

わたしが色々考えた末での口止め方法は……。

「ル、ルミアちゃん。お願い!このことは誰にも言わないで!」

懇願だった。

「べっ、別に隠すことなんてないんじゃない?」

え?ルミアちゃんの様子が少しおかしい。

は、もしかして…

「ルミアちゃんもお兄ちゃんっ子?」

「わ、わたしは違うわよ!」

なんか、声が裏返っていたから怪しい…。

訝しんでいたわたしにシャーロットが話しかけてきた。

「あ〜、ルミアちゃんは、お兄さんじゃなくて弟がいるんだよ。それでね、ルミアちゃんは可愛い弟にデレデレなんだよ。」

え、ルミアちゃん。年下好きなの?

「シャ、シャーロット。あなた、どうしてそれを知っているの…。」

ルミアちゃんの顔が赤くなっていた。

「え〜、そんなの見ていたらわかるよ。幼馴染なんだし。」

「シャーロット!あなただけずるいわ。私たちの恥ずかしこと知っているのは!だ・か・ら、あなたの恥ずかしい秘密を教えなさいよ!」

「わたしに恥ずかしい秘密なんてないよ?もしあっても自分から教えるわけないじゃない。」

それもそうだよね。わたしはルミアちゃんの暴露話のおかげで落ち着きを取り戻していた。

部屋についてある掛け時計を見ると授業開始40分前を示していた。

「あ、やばい。わたしまだ朝食たべていなかった…。」

「「心配しないで、わたしもだから。」」

ルミアちゃんとシャーロットちゃんの声が重なった。

「え、待っていてくれたの?」

「待つに決まっているでしょ。友達を置いて行けるわけないじゃない。」

「ルミアちゃん、ありがとう。」

わたしは、ルミアちゃんに抱きついた。

「あの〜、わたしも待ってたんだけど……。」

「「あー。」」

「ひどい!また仲間はずれにしたー。」

今回は、朝食をとる時間がギリギリだったため、これを理由にしてシャーロットちゃんをすぐに落ち着かせることに成功した。



カーン、カーンと二回、鐘の音がなった。

これは多分、授業開始の合図の鐘だ。

「では、始めるぞ。今から剣術と魔術の訓練を行うから、みんな外に出ろ。」

アーサー先生に言われて、みんなが外に出た。

剣術って…。魔術だけ習うんじゃないの?

「いいか?お前ら。魔術は、精霊と契約さえすれば誰でも使うことができるんだ。だから、剣術を身につけているかいないでは生死にかかわるぞ!

なるほど、そう言う理由なら納得だね。

それにしても剣術かぁ〜。

わたし、武道自体したことがないからな〜。

「じゃあ、みんな。同じ属性どうしに分かれてくれ。複数属性のものは、自分の好きな属性のところに行きなさい。全属性のものはリーリエとユキの二人だけだから、この二人のペアでいいな。」

「それでいいですわ!」

リーリエちゃんがこっちを睨みながらこたえた。

なんでわたし、睨まれているの?と不思議に思ったが、わたしではなく、わたしの隣にいたルミアちゃんの方を見ていたことがわかった。

あの一件があったからなぁ〜。などとわたしが考えているうちに、みんながそれぞれの属性ごとに分かれ始めた。

「じゃあ、わたしはこっちだから。」

ルミアちゃんは、赤の属性を選んだ。

「わたしは、こっちにするよ。」

シャーロットは、青の属性を選んだ。

なんか二人ともイメージ通りの選択だな〜。

「よし、分かれたな。じゃあ、まずは手始めにだれか二人、模擬戦をしてくれるもの手を挙げてくれ。」

「はい、わたくしがやりますわ。それと対戦相手としてユキさんを所望します。全属性どうしで文句はないと思いますが。」

「えぇー、わたし?無理だよ、無理。剣術だってしたことがないから。」

わたしは、大慌てで拒否をした。

「わたくしのお誘いを断るって言うの?なら、あなたはわたくしのしもべになることで決まりでいいかしら?」

「ダメよ、ユキ。その勝負受けなさい。」

ルミアちゃん?いきなりなんてことを言い出すの!

「まぁ、大怪我しても治癒魔術師がいるし、やってみないか?」

先生まで……。

わたしの逃げ道がなくなってしまっていた。

だからわたしは、こう答えるしかなかった。

「はい…、わかりました。受けます。」と。



「じゃあ、始めるぞ。勝敗は、どちらか片方が膝を地面に着くかこちらが危険と判断したら終わりとする。」

危険って……、危ないと思うなら初心者に模擬戦をさせないでよ。

絶対リーリエって子、剣術習っていたよ。

余裕の顔してるもん。

はぁ〜、膝が地面に着いたら負けみたいだから、怪我する前に疲れたふりをして膝を着こうかな?



(おい、お前。わざと負けようとしてるだろ?)


え、だれ?わたしの頭の中で問いかける者がいた。


(あ?もう忘れたのか?あたしだよ、あたし。赤の精霊のサラだ。お前が名づけてくれただろ?)


あ〜、サラか。わたし、剣術を習ったことがないから怪我をする前に降参しようと思って。

わたしは、正直に答えた。すると。


(バカか、お前は。あたしはな、戦う前から諦めているやつは嫌いなんだよ。)


[サラは、負けず嫌いですからね。]


(負けず嫌いで何が悪い!光の)


[わたくしは、シャインです。サラも自分の名だけじゃなく、そろそろユキがわたくしたちにつけてくださった個々の名を覚えてください。]


(あ、うっせーな。わかってるよ、シャイン。ところで相談なんだが、模擬戦の間ユキの身体に憑依させてくれねえか?ユキの意識を保ったまま、身体が勝手に動く感じなんだがとうだ?)


え、代わりに戦ってくれるの?


(あー、そうさ。代わりにやってやる。憑依を解除をしたいときは、ユキが強く念じればできるしな。)


じゃあ、お願いしようかな?

なんか…、反則な気がするけど…。


(よっしゃ。決まりだな。試合開始直後に憑依するからよろしく!)


サラってなんか血の気が多そうだな。

まぁ、サラの気がすむまでさせてあげようかな?

わたしや相手が怪我しない程度に。



「…キ。おい、ユキ。大丈夫か?急にボーっとして。そろそろ始めるぞ。」

「ユキさん、試合前にボーっとする時間があるなんてかなり余裕みたいですね。」

「え、あ、あの。余裕って訳じゃないですよ。」

わたしは、すぐにリーリエの言葉を否定した。

「始めるぞ!双方構え…、始め。」

始まった途端急に身体が軽くなる感じがした。

(よっしゃー、久しぶりに大暴れだぜ。)

サラ、本音がダダ漏れだよ…、わたしのためじゃなく自分があばれたかっただけなんだね。


バシッ、カキッ。


すごい、リーリエちゃんと互角に戦えてる。

わたしは、サラの力でやっているけどリーリエちゃんは自分の力なんだろうなぁ〜。

やっぱり、貴族ってなんでもできちゃうんだ。すごいなぁ〜。

ん?なんか男子たちの視線がおかしい?

「ユキ!気をつけないとスカートの中見えるわよ。」

ルミアちゃん?

え、うそ。ちょっとサラ!スカートがめくれないように戦うことはできる?

(あぁ、できるよ。チッ、いちいち注文の多い小娘だな。スカートの中見られても減るもんじゃないし。)

減っちゃうよ、精神的に!

(あー、わかったからくれぐれも模擬戦の決着がつくまで解除するなよ。)

わかってるよ〜。

これでひとまず安心だと思いたい。それにしてもリーリエちゃんよくスカートてあんな動きできるなと思って見ていたら、よく見るとリーリエちゃん、スカートの下に短パンみたいなの履いてるよ。

ちょっと、ずるい。

まぁ、わたしも反則技を使っているけど…。

(そろそろ、勝負をつけるぞ!ユキ。)

うん、わかった、サラ。

リーリエちゃんの模擬刀がわたしの懐に入るやいなや、わたし(サラ)はそれをさばいて逆にリーリエちゃんの懐に入り、首元をとらえた。

「そこまで!勝負あったな、ユキの勝ちだ。」

「え、嘘でしょ?このわたくしが負けた…...。たくさん努力して身につけた剣術なのに…。う、」

ちょっと、やりすぎたかな?リーリエちゃんが泣きそうになってる。リーリエちゃんの肩が少し震えているよ。どうしよう……。

「あー、ユキ。リーリエを休憩室まで連れて行ってもらえるか?そこで全属性どうしお互いではなしをするといい。」

わ、わたしが行くの?少し気まずい…。

でも先生に言われたから行くしかないよね?

はぁ〜

「はい、わかりました、先生。リーリエちゃん、行こ?」

「うん…。」

リーリエちゃんが何故か素直だ。

てっきり「触らないで!」とかそういう言葉が向けられることを覚悟していたんだけど…。

心配は要らなかったね….。


わたし達二人が休憩室に向かう途中、リーリエちゃんの方から話しかけてきた。

「わ、わたくしは、ただあなたと仲良くなりたかっただけ…。同じ全属性同士だし…、仲良くなれると思っていたの…。友達と呼べるものがいなかったから。わたくしは、あなた方3人の仲が羨ましかったの。でも、わたくしの貴族としてのプライドが邪魔をしてあんなことを言ってしまったの、ごめんなさい。」

「え、友達がいないって…、寮って3人部屋なんだよね?同室の子は?」

わたしは、無意識に尋ねていた。

するとリーリエは悲しそうな顔になった。

え?もしかして、わたし、地雷を踏んだ?

「わたくしの部屋、一人部屋ですの…。お父様の気遣いで、一人の方がくつろげるだろって言って…」

え、うそ。

お父様、リーリエちゃんのためを思ったんだろうけど、逆効果だよ。

「じゃあさ、いつでもいいからわたし達の部屋に遊びに来てよ。」

わたしは柄にでもなくそう提案した。

自分が言われたら嬉しいと思う言葉を…。

「いいんですの?」

「うん、いいよ。ルミアちゃんやシャーロットちゃんも反対しないと思う。」

わたしがそう言うとリーリエちゃんの表情が硬くなった。

「ルミアさん、あの方と仲良くするのはあまりできないかもしれないですわ。」

「あ、大丈夫と思うよ。ああ見えて、かなり優しいから。実は、ルミアちゃんに弟がいて、かなり弟のこと可愛がっているみたい。デレデレってシャーロットちゃんが言ってたんだー。」

「だ、れ、が、デレデレですって?」

わたしがリーリエちゃんと話をしてたら背後から声がした。リーリエちゃんがわたしの背後にいる誰かにビクビクしていた。わたしは、恐る恐る振り返るとルミアちゃんがまるで般若の面のような顔でこちらを睨んでいた。

「ル、ルミアちゃん!えっと、あの、これには訳がありまして…。」

「わけ?理由があれば、わたしの秘密をばらしていいってゆうの?」

怖い、怖い。声自体が怖いよ。

は、早く謝ったほうが身のためだよね。

「ル、ルミアちゃん、ごめんなさい。」

「次、誰かにいったらただじゃ済まないから。あと、リーリエも、ね!」

「「は、はい。」」

わたしとリーリエちゃんの声が重なった。


「おーい、ルミアちゃん。早いよ。」

ルミアちゃんのうしろの方からシャーロットちゃんが走ってきた。

「はぁ、はぁ。もう、ルミアちゃんったら、嫌な予感がするって言って、先に走っていちゃうんだもん。で、何かあった?」

はぁ〜、よかった。シャーロットが来てくれたおかげでルミアちゃん、落ち着いてくれそう。

「な、な、何かあった?じゃないわよ!元はと言えば、シャーロットがわたしの秘密をバラすからいけないのよ!」

「ひぇぇぇーん。ごめんなさいー。」

ルミアちゃんの怒りがシャーロットちゃんに向いた。

ルミアちゃんとシャーロットちゃんがわたし達のところに来た理由は午後の授業は魔術でどんな魔法か見せたいから剣術の時と同じところに集合なと先生に伝言を頼まれたからであった。それを知ったのは、ルミアちゃんの怒りを鎮め終わったあとだった。

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