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8.魔法、歴史そして友達

「あら、リーリエは教室に戻っていたのね。てっきり、泣いて寮に帰ったのかと思っていたわ。」


私たちが教室に戻るとリーリエが席についていた。

なんか、涙目でこっちを睨んでいるんだけど…。


「ル、ルミアちゃん!リーリエちゃんが涙目でこっちを睨んでるよ。」

「シ、シャーロットちゃん、それを声に出して言ったらリーリエちゃんに聞こえちゃうよ。」

「あ、ごめんなさい…。」


わたしがシャーロットちゃんの行為を咎めたが、遅かったみたい。リーリエちゃんに聞こえていたようだ。

リーリエちゃんが少し震えながら、こちらに向かって来た。


「あ、あなた。さっきは、よくもあんなことを言ってくれたわね!よく考えれば、あなたも無いじゃない。この断崖絶壁女!」

「とうとう本性をあらわしたわね、リーリエ。わたしはね、そんなこと言われ慣れているの……。だ、だから痛くもかゆくもないわね。」

心なしか少しルミアちゃんが落ち込んでいるように見えた。

「くーっ。」

リ、リーリエちゃん、そこ悔しがるとこ?

わたしが軽く心の中でツッコミをしていると先生がルミアとリーリエのとなりにあらわれた。

すると…

「きゃっ、痛いじゃない

きゃっ 、 痛いですわ 」

先生が2人の頭にチョップをくりだした。

うっわ〜、痛そ〜。

「おい、お前ら。うるさいぞ、早く席に着け。」

私たちは、そそくさと席に着いた。


「じゃあ、早速始めるぞ。お前たちは精霊と契約する時、精霊に名を与えたと思うが、その名を他人には絶対に話すんじゃないぞ。自分の精霊の名が他人に知られれば、その精霊の名を知った他人に指輪を奪われるかもしれないからな。奪われる理由はその指輪と精霊の名という鍵があれば、誰でも魔法を使うことができるからだ。まぁ、契約した魔術師が死んでしまうと自動的に契約解除になるから殺されることはないかもしれんが、でも上が指輪を取られた魔術師に対してどういう判断を下されるかわからないからな。

あ、上っていうのは、この王国にある魔術師協会のことだ。」

「あの〜、先生。」

一人の男子学生が先生に手を挙げた。

「ん〜、どうした?トイレか?質問か?」

「はい、質問です。実際に指輪を取られた魔術師はいるんですか?」

みんなが気になっていることを先陣きって言ってくれたみたい。

「あぁ〜、過去に二人いる。」

その瞬間、みんなが息を飲んだ。

え、もしかしてその二人は……

「もしかすると気付いているかもしれんが、その二人は指輪を奪われたときは殺されなかったんだ。しかし、魔術師協会は指輪を奪われたことを許さなかった。即刻、その二人は処刑された。契約を解除するためにな。…素直すぎんだよあの二人は…」

え、なんか最後ぼそっと言った言葉…もしかして。

「せ、先生ー、その二人の魔術師と知り合いだったんですか?」

わたしは、つい先生に聞いてしまった。

すると先生は、鋭い眼光でわたしのほうを見つめた。

「はぁ〜、察しがいいな、ユキは。まぁ、隠していても仕方がないか。そうだ、知り合いだ。でもただの知り合いってわけじゃない。一緒に訓練を受けていた仲間だ。しかも二人とも俺と同じ寮の部屋だった。二人の処遇を甘くしてもらえるように、頼んだんだけどな。認められなかったんだ。」

先生は悲しそうにそう言った。しかし、わたしには怒りや後悔の念が先に立っているような気がして、少し嫌な予感がした。


「まぁ、そんな辛気臭い話はもう終わりだ。みんなも気をつけるんだぞ!じゃあ、魔法のやり方だが、自分の契約した精霊に聞けばわかる。同じ属性の精霊でも得意魔法は、個々それぞれだからな。自分が精霊に与えた名で問いかけるんだ、そうすると聞くことができる。ただし、心の中で唱えるんだ。決して、声に出すなよ。同じ過ちを犯さないように注意しろよ。」


先生は、わたし達に対して厳重に注意した。

まぁ、精霊に聞いたら元の場所、時間に帰れるみたいだから、この世界を満喫して帰ろうかな?

あぁ〜、魔法使うの楽しみだな〜。


「魔法の実践は、明日だから。あ、予習はしなくていいぞ。魔法を勝手に素人が使って、暴発したらたまったもんじゃないからな。じゃあ、次は歴史についてだな。みんなは、常闇の魔女って知っているか?2000年前のことなんで、どの種族も実際に見た者はいないが…。取り敢えず、みんなに教えとこうか。」

先生は、わたし達3人が学校図書館で見つけた話とほぼ同じだった。けれども、少し違う点があった。それは、常闇の魔女になった少女の村を襲った者についてだ。わたし達が見つけた本には、それについて言及されていなかった。しかし、先生の話では襲った者について語っていた。その人は、無事捕まり処刑されたみたいだ。

先生曰く

「彼は、ある言葉を残して処刑されたんだ。」

らしい。

ある言葉?何それ。と疑問に思ったが、すぐに先生の口から答えが出た。

「たとえ我が死んでも、第2、第3の我が世界を滅亡へと誘うであろう。フハハハ。」

と言っていたらしい。

え、第2、第3って何?クローンでもいるの?

その言葉の意味がわたしにはあまり理解できなかった。

わたしの頭の中がもやもやしてるうちに話が終わってしまった。


「じゃあ、これで授業は終わりだ。明日に備えて早く寝るんだぞ!くれぐれも勝手に魔法の練習をしないように。」

そう言い残し、先生は去っていった。

ま、聞けなかった話は、ルミアちゃんかシャーロットちゃんに教えてもらおうかな?

わたしは、ルミアちゃんとシャーロットちゃんの席の方を見ると他の学生達に囲まれていた。ルミアちゃんは女子の割合が高くて、シャーロットちゃんは男子の割合が多かった。

はぁ〜、もう二人はすぐ友達できそうだな、わたしと違って。大学生で友達一人だったからな〜、まだ一回生だけど。でもその友達の楓ちゃんは、わたし以外の友達いっぱいいたよ。でも、なぜかわたしとよく一緒にいてくれるだよね。理由聞いたらこんなことを言っていたと思う。


「なんか、あなたを一人にしていたら危なっかしいと感じてしまうのよね。硫酸に水を加えそう的な。」

「え〜、そんなにわたし、危なっかしいかな?

ていうか、わたしでも硫酸に水を加えたらいけないことぐらい知っているよ〜。」

「あ、ごめん、ごめん、冗談だから。でも、ほっとけないのも事実かな?保護者的な。」

「えー、それもひどいよ〜。」


今、思えば楓ちゃんとの出会いは、奇跡だったと思う。この出会いがなければ、大学生活ぼっちだったよ。

わたしはルミアちゃんたちのほうを見ながら思い出にふけっていた。

わたしがルミアちゃんたちの友達作りを邪魔するのは、野暮だよね。わたし、この世界にずっといるわけじゃないし……。

わたしは誰かに話しかけられる前に教室を出て、すぐに寮に戻ることにした。

はぁ〜、わたしって積極性がないのかな?とか色々なネガティブなことを考えているうちに誰もいない寮の自分の部屋にたどり着いた。

取り敢えず、疲れたから寮のベッドで少し寝とこうかな?

わたしはそう思い、ベッドに横たわると疲れていたのかすぐに眠りに落ちた。


「…キ、ユキ、そろそろ起きなさい。もう夜よ。夕食が食べれなくなるわよ。」


え、ルミアちゃん?ってもう夜?

わたしは飛び起きた。

「えーと、そのルミアちゃん、起こしてくれてありがとう。いつからそこにいたの?」

「授業終わってすぐに寮に戻ったわ。ユキの席の方を見たら、ユキがいなかったしね。案の定、ユキが寮に帰っていたのよ。そんでもって、ユキが寝てたから、わたしは起こそうとしたのだけどシャーロットがね、

「ユキちゃんが気持ちよさそうに寝ているのに、すぐ起こさない方がいいよ〜。夕食前まで寝さしてあげよっ。」って言ったから。夕食前までシャーロットと話をしながら時間をつぶしていたの。」

え、わたし、逆に気を使わせていた?

「えーと、他の子達と仲良くなれた?」

「まぁ、ある程度はねぇ。ユキがいなかったから、それどころじゃなかったけどね。なぜかユキを見ていると危なっかしいかんじするのよね。だから心配で。」

なんかこのセリフ聞いたことあるよ。

ルミアちゃんにまで同じこと言われるなんて……

「ルミアちゃん、そんなにわたしって危なっかしい感じる?自分ではしっかりしていると思ってたんだけど…。」

「危なっかしいっていうのは、言い過ぎかもしれないわね。ユキをほっとけない気がするのよ。」

またしてもルミアちゃんは、楓ちゃんと同じことを言う。

でもすごく嬉しかった。わたしは泣きそうだった。

ていうか、泣いていたかも。

「ルミアぢゃん、ありがとう」

わたしは、ルミアちゃんにそう言いながら抱きついた。

「ちょっと、急に抱きつかないでよ。」

ルミアちゃんは、あまり嫌がらずわたしを受け入れてくれた。

いつかは、本当のことを話さないといけないんだよね。自分は、この世界の人間じゃないって。

わたしは本当にこの世界を離れることができるの?

別れる時絶対辛くなるよね?


「わ、わたしもいるんだけど…。」

わたしがあれこれルミアちゃんに抱きつきながら考えていると隣から声が聞こえた。

あ、シャーロットちゃんもいたんだ…。忘れてた…。

「あー、ユキちゃん。今の顔、絶対忘れてたって顔でしょ!」

「ごめん、シャーロットちゃん。ルミアちゃんのことに意識がいっていて、シャーロットちゃんのことは、蚊帳の外だったみたい。」

「ひどいよっ!」


それから私たちはシャーロットちゃんを慰めるのに時間を要したが、夕食にはギリギリ間に合ったのだった。

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