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7.契約後の休憩

「一応、全員契約できたようだな。それにしても、全属性が2人も出るとはな。俺はこの結果を上に報告しないといけないから、30分ほど休憩しとけ。」

そう言って先生は、去っていった。

ふ〜、やっと落ち着ける。

「貴方も、全属性なのね。」

先生からの拘束を逃れたと思ったら、今度はリーリエちゃんが近づいてきた。さっきの視線は、リーリエちゃん?

「あ、うん。そうだよ。」

わたしは、少し詰まりながら答えた。

「あら、そう。では、わたくしのしもべにしてあげてもよろしくてよ。」

え、しもべ?わたしは、てっきり友達って言われると思っていたんだけど…。

「あ、あなた。ユキに失礼でしょ!いきなり自分のしもべになれなんて。」

ルミアがわたしの代わりに怒ってくれていた。わたし自身あまり怒りという感情を持ち合わせてはいなかった。そんなわたし自身のことで怒ってくれる友達。いい友達を持てたなぁと思っているとルミアとリーリエの言い争いが勃発していた。

「あなたは、ユキさんのなんなの?」

「なんなのって。わたしは、ユキの…と、友達よ。」

「そう。でも、わたくしがユキさんをしもべにしても、全く問題ありませんわね。」

「問題大アリよ。どうして、しもべなのよ。と、友達でもいいじゃない。」

「このわたくしが、平民と友達ですって?わたくしの友達は、貴族じゃないとなれませんわよ。」

「そんなに、貴族が偉いの?差別よ、差別。」


「あちゃー、始まっちゃったか〜。ルミアちゃん、負けず嫌いだからこの言い争い、いつ終わるかわからないよ?」

シャーロットがルミアとリーリエの方を見ながら、わたしに話しかけてきた。

へ〜、負けず嫌いかぁ。

「そういえばルミアちゃんとシャーロットちゃんって幼馴染なんだよね?小さい頃どんな風に過ごしていたの?」

わたし達は、2人で幼少期の話題で話していたんだけど、次第にルミアちゃんのみの話に変わっていった。


「…でね、ルミアちゃんが6歳の頃布団にお漏らしした時の話なんだけど、自分が漏らしたのを誤魔化すためにした言い訳がね


「ゴ、ゴブリンがわたしの布団でよだれを垂らして寝てたせいだよ。わ、わたしじゃないんだからねっ。」


って言ったの。もちろんそれを聞いたルミアちゃんのお母さんは嘘だって気づいていたんだけど、その嘘に乗っかって、この街にゴブリンがいるのは危険だからって言って街でゴブリン討伐隊が作られたの。ルミアちゃん、自分の嘘が大事になってかなり慌ててたのを覚えてるなぁ〜。その後、街の人たちに謝りに行ったんだよ。あの時の顔を真っ赤にしたルミアちゃん、可愛かったなぁ〜。」

「へぇ〜、そんなことがあったんだ。昔からルミアちゃんって強がりなんだね。でも、ちょっと嘘が下手に思う…ブッ」

わたしは、思わず吹き出してしまった。

だって、おねしょの言い訳がゴブリンのよだれって言ってるんだよ。そんな言い訳誰も思いつかないよ。もっと簡単な言い訳があるのに…

例えば、布団で水飲んでこぼしたとか…ね。

わたし達が笑っている時、シャーロットちゃんの後ろに黒い影が現れた。そして二つの拳がシャーロットちゃんの頭を挟んで、グリグリし始めた。

「え、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ。」

「シャ〜ロ〜ット?何をはなしているのかな?」

「え、ル、ルミアちゃん!」

「あなた達が楽しそうに笑っていたから来てみれば…わたしの話をしていたのよ…。わたしが葬りたい1番の黒歴史をシャーロットが話してたの。」

「わ、わたし達は、自分達の小さい頃の話をしていただけだよ〜。次第に話がルミアちゃんのことになって…あの、その、話のネタとして面白そうだったからつい…。ごめんなさい。」

ルミアちゃんの顔、鬼みたいに怖くなってる。

やばい、今度はこっちを見た。次、わたし?

「ユ〜キ、あなたもわかっているんでしょうね?この話を誰かに言ったら、半殺しにするから。」

「は、はぃ。」

わたし達は、ルミアちゃんのことでわかったことがある。ルミアちゃんを怒らせるとかなり怖い。


「そういえば、ルミアちゃん。リーリエちゃんとの言い争いは、終わったの?」

「えぇ、終わったわ。『この貧乳貴族が』っていったら、拗ねてどっかに行ってしまったのよ。わたしはそんな悪口言われ慣れているけど、リーリエは、そうじゃなかったみたいね。」

ル、ルミアちゃん。自分が言われたことのある悪口で相手の心をへし折るなんて、恐るべし。

わたしもそんなこと正面切って言われたら、落ち込んじゃうよ〜。


「おい、お前ら、休憩は終わりだ。さっさと教室戻るぞ。」

あ、先生が戻ってきた。

はぁ〜、これから授業かな?精霊との契約だけでかなり疲れたから、休みたい…。

「あ、そうそう。今日の授業は、基本知識と少し歴史を教えるだけだから実践は明日からだ。契約だけで疲れているやつもいるようだからな。」

先生は、ちらっとこっちを見ながらそう言った。

え、わたし、顔に疲れが出てた?

早く終わってくれるのは、嬉しいけど何分授業か分からない。

「さっ、行くわよ。」

ルミアの掛け声で、わたしは、いや、わたし達は教室に戻った。

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