4.この世界の料理
「別に、仲間はずれにしようとしてるわけじゃないわよ。あなたが用事でいけないってゆうから、ユキと二人で行くのよ?」
「私も、一緒に行きたい。」
シャーロットは、泣きそうな顔でそう言った。
「なっ、なにも泣かなくてもいいじゃない。アルバイトはいいの?」
「いい。」
シャーロットは、そう答え。明日は、三人で図書館に向かうことになった。その時
グゥ~
誰かのおなかの音が鳴った。
「そろそろ、夕食を食べに行きましょうか。誰かさんがおなかが空いているみたいだしね、ユキ?」
訳知り顔でルミアが言った。
まずい、私のおなかが鳴ったのばれてる?しかも、シャーロットちゃんもにやついているし、すごく恥ずかしい。
「ユキちゃん、行こ。」
シャーロットちゃん、顔がにやついてるよ・・・。
私たち三人は、無料の学校の食堂を利用することにした。食堂に向かう道中、考え事をしていた、この世界に来て、新しい友達もできたが、最終的には、元の世界に帰らないとお兄ちゃんが心配しているかもしれないし。もし、この世界と元の世界の時間の進み度合いが同じなら、もう元の世界も一日たつよね?
お兄ちゃん、私を探すために無茶しなければいいけど・・・。
そんなことを考えるうちに、食堂にたどり着いた。
「で、ユキ。食堂に行く途中、何考え事してたのよ。」
「え、あ、うん。大丈夫、大丈夫。心配ないよ。」
「別に、心配していたわけじゃないけど。まぁいいわ。人が何を考えようが自由だしね。」
ルミアは、そう言い食堂の中へ入っていった。私たち二人も後に続く。
「ふーん、ここの食堂は、セルフなのね。じゃあ、みんなで取りに行きましょ。」
私は、食堂を見渡して、すぐにビュッフェ形式のものであることが分かった。私は、お盆と皿とお箸・・・え?お箸が・・・ない?代わりにフォークとスプーンとナイフだけ置いていた。そうか、ここは異世界だから、お箸がない可能性が高いのか。
しょうがない、フォークとスプーンとナイフを使うか。悩んでいた内に、二人は料理のほうにいて、私が来るのを待ってくれていた。
「遅い!ユキが一番おなかがすいてるんじゃないの?」
「ゴメン、ちょっと考え事してて・・・」
「ルミアちゃん、そんなに怒らないの!ユキちゃん困ってるじゃない。」
「別に、怒ってるわけじゃないけど、早く料理をとって席に座りましょ。」
私は、食堂の料理を見て驚いた。4種類しかない・・・。パンとゆで卵、ウィンナー?(ソーセージかな?)とトマトを煮たような料理を置いていた。
ルミアちゃんが、ウィンナー?みたいなのをさらに置いていた。
「ルミアちゃん、そのウィンナーみたいなものは何?」
「え、うぃんな?これのこと?これは、ヴィルグっていう、この王国の伝統料理よ。確か、何かの腸にオークの肉を詰めたものだったと思うわ。なんの腸だったかしら...」
「ゴブリンの腸よ、ルミアちゃん。」
考え込むルミアちゃんにシャーロットちゃんが合いの手を入れた。
ゴブリンの腸に多くの肉をいれるの?ったいうかなんの肉なの?
「あの、ルミアちゃん。ヴィルグっていう食べ物は、ゴブリンの腸に、肉をたくさん詰めたものなのは、わかったけど、何の肉を使っているの?」
「だから、オークの肉よ、オークの肉。」
「え、おおくの肉?」
「そう、オークの肉よ。」
あ、そうか。私、多くとオークで聞き間違えたのか...。まぁ、オークなんて元の世界で使わない言葉だし、仕方がないよね?
「じゃあ、これとこれは、パンとゆで卵だよね?」
「えぇ、そうよ。」
「このトマトを煮たみたいな料理は、何?」
「とまと?これのこと?これは、ロカロの実を煮たものよ。私は、あまり好きじゃないのよ。食べるときに、酸っぱい汁が出るから。」
ルミアちゃんの好きじゃないと言う発言にシャーロットが反応した。
「え〜、ロカロの実は、お肌にいいんだよ〜。」
「それでも、嫌いなものは、好きにはなれないわよ。じゃあ、私はロカロの実以外の3種類頂くわ。ユキと言うシャーロットは?決まった?」
「私は、4種類全て貰うよ。」
「私も、4種類全て。」
「取り終わったわね?じゃあ、席に向かいましょ。入学式前は、流石にかなり空いてるから、よかったわ。ここにしましょ。」
席に座り、私たち3人はさりげない話に笑いあいながら、楽しく食事をしていた。食事をして言えることがある、ヴィルグって言う料理がかなり美味しかった。
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食事を終えて、寮の部屋に戻るとシャーロットが聞いてきた。
「ねぇ、お風呂は、どうする?」
え、この世界にも風呂文化があるんだ。匂いも気になるし、入りたいとこだったんだよ。
私が、入りたいって言う前に、ルミアが
「なんか、お風呂に入るのが面倒だから、身体を拭くだけでいいじゃない。」
と言い出した。
何ですと、私は、ルミアの女子力ない発言に驚き、反発した。
「だ、ダメだよ、ルミアちゃん。お風呂があるなら、入った方がいいよ。疲れも取れるし、ね、一緒に入ろ、ね。」
「わ、わかったわよ、ユキ。なんでこういう時押しがつよくなるのよ。」
私たちは、寮のお風呂場に向かった。
はぁ〜、生きかえる〜。私たちは、からだを綺麗にして湯船に浸かっていた。
「それにしても、シャーロット。あなたまた、胸が大きくなったんじゃない?」
「そ、そうかな?気のせいだよ…」
「くっ、その余裕。羨ましいわね。」
「ルミアちゃん、私たちは、まだ15歳だよ。希望はあるよ。」
私はそう答えたが、自分のは、あまり大きくならないことは、知っている。
だって元の世界では、19歳でその時と少ししか違わないのだから。
だから、初めてシャーロットちゃんに会った時、驚いたのだ。私が、19歳の時より大きいと…。
「そ、そうね。希望はあるわよね。」
「そうだよ、諦めちゃダメだよ。」
シャーロットちゃんが無邪気な笑顔で答えた。
「あ、あんたのその余裕な態度がムカつくのよ。」
と言いながら、シャーロットの胸を思いっきり鷲掴みしていた。
ふ〜、お風呂気持ちよかった〜。あとは、寝るだけかな?明日、図書館で元の世界に帰れる方法を見つけれたらいいなぁ〜。そう考えながら、布団にもぐった。
「電気、消すわよ。」
とルミアちゃんが言った。そして、電気が消された。
「「「おやすみなさい」」」
私は、疲れていたのかすぐに眠りに落ちていた。
こうして異世界での一日目が終了した。