17. 闇の中で・・・
あれ?わたし、どうしちゃったんだろ?
真っ暗闇で身体も動かない。
でも何だか、もうどうでもいい感じ・・・
確か、ナイフが刺さって、血が流れていて・・・
え?誰の血だっけ?わたしの・・・かな?もしかして・・・わたし、死んじゃった?
でもここはどこだろう・・・死後の世界?
わたしは、このまま意識が消えてしまうのかな?
死ぬ前に魔法を使えたのは、楽しかったなぁ〜
うん?
魔法?
わたしの現実では、魔法なんて物語の中だけのはず・・・一体どこでわたしは、魔法を・・・
自分が不意に頭に浮かんだ言葉に自問自答をしていた。
あぁ、そうか、もしかして死ぬ直前の夢かな!
でも、結構楽しかったなぁ。友達と合成魔法のをつくったりもしたなぁ。
友達の名前も覚えていない。でも、何となく記憶が残っていた。わたしは、暗闇の中、今までの記憶や妄想?がフラッシュバックしていた。
▽ ▽ ▽
どれくらい時間が経ったんだろう・・・
まだ、意識はある・・・わたしは、このままどうなるんだろう?
暗闇に身を委ねている中、突然、何かが軋みだしたような音がした。
そして、暗闇に一筋の光の線が生じていた。
[ユキ、オガサワラ ユキナ・・・早く目を覚ましなさい・・・わたしが干渉出来るのはこれまでです。友の声に耳をすませなさい・・・さもないと後悔することになりますよ・・・]
謎の声はそれだけを言っただけで聞こえなくなった。そして、暗闇にできた光の亀裂の線の長さがだんだんと短くなっていく
友の声?
謎の声の言う通りにわたしは、耳をすました。
「…き、早く戻ってきなさい!こんな幻覚に惑わされていいの?現実を見なさい。あなたは、今操られているの、早く戻ってきてユキ!」
誰だろう?どこからか声が聞こえる・・・
わたしの名前は、雪菜だけど、ユキって・・・
それに、操られてる?
幻覚?
わたしは、思い出そうと思考を巡らした。
すると脳内に囁く声がした。
《オマエハ、タイセツナヒトヲウシナッタ、モウイキテイルイミハナイ、キエテシマエバイイ》
タイセツナヒト?
そうわたしが呟いた・・・
ガンっ
「うっ!」
突然、後頭部から背中にかけて鈍痛が走った。
「ヒューヒュー・・・ い、息が・・・苦しい・・・」
な、なにこれ・・・急に頭が・・・
痛みに悶えていると、急に目の前が光につつまれていた。
「うぅ〜ま、まぶしい・・・」
次第に、わたしの目が光に慣れていき、視界がはっきりしてきた。
そこへ見えてきたのは、片膝を地面につき息をきらしている少女の姿だった。その少女は、こちらを見て何かしゃべっていた。
「え?何?なんて言ってるの?」
その少女の声は、まだ全く聞こえなかった。
わたしは、少女の声を聞きとることに意識を集中した。
『・・・き、早く戻って来て!』
『魔法を使えないですって?まぁ、いいわ、この場にいる全員皆殺し確定ね、もう動くこともつらいでしょうから、殺すのなんて簡単よ?』
わたしの声?目の前の少女と会話してる?
『ルミアちゃん、逃げて!』
!?
ルミア・・・ちゃん?あ!
思い出した、あれは夢じゃなかったんだ。
わたしは、誰かと戦ってその後どうなった?
確か、いきなり目の前が真っ暗になって、その後は・・・
わたしは全てを思い出そうとしたが、突然、視線がルミアちゃんから、下に落ちている剣に向かった。
そして、拾い上げ、再び視線がルミアちゃんに戻った。
その剣・・・どうするんだろう?
剣の刃先がルミアちゃんの首にむいていた。
『まずは、あなたから・・・死ね!』
え?
ルミアちゃんが目をつぶるのと同時に剣先が、わたしの視界から消えた。
まさか!?
『ルミアちゃん!』
『ルミアさん!』
その声は、シャーロットちゃんとリーリエちゃん?
やばい、なんとかしなきゃ、謎の声が言っていたのは、このことだったんだ。
動いて!わたしの身体!
『ふっ・・・終わりよ』
わたしの声でそう呟くのが聞こえた。
「ダメーーーーーーーーーーー!」
わたしは、大声でそう叫んでいた。
その時、わたしの目の前が白い光につつまれた。