1.プロローグ
私は、小笠原 雪菜は大学の期末試験を終えたある日、不思議体験をしました。それは、私の夢だったのかもしれないけど、その夢物語を、体験したことを書き綴りたいと思いました。私の話を軽く聞き流すだけも構いません、気軽に聞いてくださると幸いです。
とある日のことーーー
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「あぁ〜、やっと試験も終わりだ〜」と、私が試験終了の余韻に浸っているとき、背後から声がかかってきた。
「雪菜〜、これからどうする?カラオケでも行く?」
この声の主は高木楓、大学で1番仲のいい友達です。
「ごめん、今日夕食当番なんだよ〜。テストで忙しい期間は、全部お兄ちゃんが、掃除やご飯当番やってくれていたから、今日からね、頑張らないと。」
「あなた達よく兄妹で同棲なんてするわね。でもまぁ、同じ大学なんだし、部屋代節約って事なのかもしれないけど、、、」
「けど?」
「お兄さん大好きっていう雰囲気を出さない方がいいと思う、、、」
私は、楓の言葉に慌てふためいてしまった。
「えっ、そ、そんな雰囲気でてた?」
「うん、出てたわね。あなたは、そこそこ見た目いいのに中身がこれじゃあね〜。いい男寄ってこないわよ」
「あぅ、あ、でも大学生の間は、彼氏いらないかな。働いてからでも遅くないと思うし。」
「雪菜、、、まぁいいわ。じゃあ、あなたの下宿先見に行ってもいい?あなたのお兄さんに会ってみたいしね。」
う〜んどうしようかな?お兄ちゃんは、あんまり怒らない人だから夕食に誘っても、大丈夫かな?
「うん、分かった。いいよ〜、ついでだから夕食を食べてく?」
「良いの?ありがとう、じゃあ早速行きましょ。夕食の買い出ししてから帰るんだよね?何作るの?」
「え〜とね〜、肉じゃがを作る予定だよ」
「ふーん、分かった。行きましょ。」
私は、帰り仕度を済ませて、楓と一緒に教室を出た。
「楓は、料理したりするの?」
「え、私?しないよ。実家から通いだし、お母さんが作ってくれるからね。」
私達は、歩きながら話しているうちにスーパーにたどり着いた。
「雪菜、肉じゃがの具材は、人参、玉ねぎ、ジャガイモ、牛肉、しらたきでいいよね?」
「いつも具材は、それぐらいかな?定番でしょ?
でもお兄ちゃん、しらたきは、あまり好きじゃないみたいだから少ししか入れないけどね。」
「ふーん、そうなんだ。一応、食べさせてもらう身だし、料理も手伝うよ。」
「やったー、ありがとう」
私達は、買い物を終えて帰宅した。
「で、どうする?先に、夕食作る?」
「そうだね、作ってしまう?お兄ちゃんに連絡したら、今日帰宅するの18時ぐらいって言っていたし、早めの夕食ってことにしよ!」
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「ただいま」
あ、お兄ちゃんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「おじゃましています」
「へぇ〜、君が楓ちゃんか、妹と仲良くしてくれてありがとう。あ、自己紹介まだだったね、小笠原 隼です。工学部で来年度から4回生なるんだ、もう一年で卒業だが、よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
「そんなに、かしこまわらなくてもいいから気楽にね。」
(なんか、お兄さん普通に、いいね)
(でしょ〜、自慢のお兄ちゃんだよ)
「じゃあ、食べるか。」
お兄ちゃんの合図とともに、
「「「いだだきます」」」
と食べ始めた。
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「「「ごちそうさまでした」」」
「楓ちゃんは、何時にかえるの?」
と、お兄ちゃんが切り出した。
「えっと、20時までには帰らないといけないのでもう帰ります。ありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそありがとう。じゃあ、雪菜と僕が、近くまで送るよ。女の子を夜道で一人、歩かせるのは、危険だからね。」
「あ、ありがとうございます。」
私は、お兄ちゃんが見守っている中、楓と談笑しながら、楓を自宅近くまで見送った。
「雪菜、いい友達を持ったな。家に遊びに来てくれる友達なんて、小、中、高でいなかったからなぁー。お兄ちゃん、嬉しいぞ!また、いつでも来ていいからと楓ちゃんに言っといてね。」と、今日のお兄ちゃんは、一段と嬉しそうに見えた。私に友達が出来ることがそんなに嬉しいことなのかと一瞬困惑したが、笑顔で私は、「うん」と答えた。
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翌日、私は、気分転換がてらに、趣味であるサイクリングをするため、お兄ちゃんに自転車で近くの山に行くことを告げ、スマホと財布を持って出かけた。
しばらく経つと、晴れていた空が、曇りだし、雨が降り出した。
「まずい、降り出した。そこの建物で雨宿りさせて貰おうかな?」
私の目の前に一軒だけ立っている木造の小屋まで、走った。
「おじゃましま〜す、誰かいませんか?」
と言いながら中に入ったが、その時。バンッと
勝手に扉が勢いよく閉じてしまった。
「ひゃ!」
私は、びっくりして尻餅をついてしまった。
「え、か、風で勝手に扉が閉まったんだよね?もう、おどかさないでよ。」
再び扉を開けなおそうとした。
ガチャリ。
「え、これ、開かないんだけど。この扉確か内開きだったから、引けば開くと思うのに、どうして開かないのよ!」
私は、扉を持てる力の全てを使って開けようとした。次の瞬間
「きゃあ!」
扉と私の力の均衡が突如崩れさった。
今となっては、扉が開いたのか、それとも取っ手が壊れたのかは記憶にないが、そのまま後頭部を地面にぶつけて、気絶してしまった。
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「…い、大丈夫か。嬢ちゃん。しっかりしろ、こないなところで寝とると、風邪を引くか、盗賊に身ぐるみ剥がされて、奴隷として売られるぞ」
盗賊?え?
ごつい声のおじさんの声で目が覚めた、いたい、、、
「うぅ、え、あなたは?」
「俺は、アトキンス商会に所属してるゴーゼルちゅうもんや。嬢ちゃん一人で、この道を下っていくのは危ないさかい、一緒に行くか?」
何が起こっているのか分からないまま、二つ返事で
「はい。」と答えていた。
(え、私、木造の小屋で気絶していたんだよね?なんで、私、道で倒れてたの?)
考えがまとまらない私に対して、商人のおじさんが聞いてきた。
「嬢ちゃんは、なんであんなところで寝とったんだ?よくまぁ、盗賊に身ぐるみ剥がされずにおれたもんやなぁ〜。」
盗賊って言葉、お兄ちゃんの持っていた異世界物のライトノベルで聞いたことあるけど、え、じゃあ、ここ異世界?どうやって戻ることができるの?早く戻らないとお兄ちゃんが心配してるかもどうしよう?
「あの〜、つかぬことをお伺いしますが、今日は、何の日ですか?」
「大丈夫か、嬢ちゃん。頭でも打ったのか?今日は青の日だよ。」
え、青の日って?私、何日って聞こうとしたら、何の日ですかって聞いてしまったんだ。
「あの〜、青の日ってなんですか?」
「なんだ、嬢ちゃん。そんなことも知らないのか?1年は12ヶ月で、ひと月は30日あるんだ。一週間は、赤の日、青の日、緑の日、土の日、光の日、闇の日の6日間のことだ。赤やら、青やらって言うのは、精霊の種類だな。赤の精霊は火や熱を司る精霊、青の精霊は水を司る精霊、緑は草木や風を司る精霊、土は、大地を司る精霊って言われとるな。光と闇についても、なんか言い伝えがあったかもしれんが、忘れてもうたわ。」
「く、詳しい説明ありがとうございます。で、なぜこんなところで寝ていたかですよね?実は、私、木造の小屋の中で気を失っていたはずなのですが、いつのまにかあんなところで寝ていたみたいです。」
「なんじゃそりゃ。」
そりゃ、そうゆう反応しちゃうよね?自分の気を失った場所が目を覚ますと違っていたなんて。
「ところで、嬢ちゃんは、何歳だ?見た感じ15か16歳に見えるが。」
「え、私?19歳だよ。」
「その形でか?入門時に、身分証提示しないといけないが、持ってるか?無ければ、発行料幾らかかかるが、、、」
え、そうなの?どうしよう、、、、、、、、、。
「その慌て様、やはり、持ってないのか、わかった今回は、俺が代わりに払ってやろう、そのかわり次は無くすなよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「今、向かっている国は、ノイベルグ王国つうとこなんだけど、そこで確か、無料の魔術師学校があったはずだ。20歳未満なら誰でも入れるんだとよ。でも、精霊との相性も良くないと魔術が使えないみたいだな。結構、入ってすぐ辞めさせられる人も多いって聞くな。それでも試してみる価値は、あると思うが、どうする?」
また学校かぁ〜、友達を作るの大変なんだよな〜。体育てペアを組んで、体操する時も、一人余って先生と組んだし、、、、、
でも、学校かぁ、異世界に来て魔法があるのにチャレンジしてから帰っても罰は当たらないよね。お兄ちゃん、ごめん。元の世界にかえるの少し後になるかもしれない。
私は、ゴーゼルさんに対し
「行きたいです。」
と答えた。