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第3話 初仕事!!

意外と早かったってね

「…何でも屋さん…だと?」


門へ向かいながら俺たちはこれからのことについて話し合っていた。


「おう!何でも屋さんだ!家事は勿論、護衛や荷物配達など!俺達がこの力を使っていろんな人を助ける!」


リリーは目を細めこちらを見ている。どうやらイマイチ納得していないようだ。

「そんな目で見るなよ…。」

「いや…なぜ私がそのようなことをしなければならないのだ?私は元魔王だぞ?」


たしかに、元魔王が他人の家の部屋を掃除したりしてたら知っている人からすれば恐怖すら感じる。だが…


「お前はもう獣人として暮らしていくんだ。元魔王としてのプライドなんか早々に捨てないと、この先大変だぞ?」


こいつの魔王以前の前世の記憶があればそんなことは無かったのかもしれないが…今のこいつは魔王としての記憶と感情だけが残っている。無理やり納得してもらう他ない。


「はぁ…私が雑用か…。」

「けどまぁ、魔王としてのプライドは捨てろと言ったが、それは仕事をするために必要なことだ。仕事に我慢は付き物だ。それに、まずはお客との信頼が大切だ。最初は護衛任務などから始めれば、それ以外にこんなこともできますよ!というアピールもし易い。」


少し悩んだリリーは はぁ… とため息をついた。


「分かった。人間達の生き方を学んでいかなくてはならないからな…お前に任せよう。」


よし!丸め込めたぞ!!あとは…あ


「この世界って俺たちの言葉通じるのか?」

「身分証が読めたのだから、通じるだろう。神もそこまでバカじゃない」

「そっか…ほんじゃいっちょ頑張りますか!」






「止まれ。」


門番兵らしき人物が二人たっており、俺たちは言葉どうり静止する。どうやら言語は同じようだ。


「身分証を。」


俺たちは言われた通り身分証を提示する。

門番兵は軽く目を通して身分証を返す。


「よし、ちなみにお前達はどこから来た?」


まあ、放浪者って書いてあったら一応確かめるよな。

いや、誰でも訪ねるか…


「(おい、こういう時どうするんだ)」


リリーが小言で呟いた。


「(安心しろ、俺がちゃんと考えてるから)」


このような事態は想定済みだ。故に、様々な返しを無人島で考えてきてある。もちろん、前世の知識も利用させてもらおう。主にラノベだけど…


「俺たちは南の方から転々と村や町を渡り歩いてきた。前通った村は…何だったけな。もう10日前だから忘れたな。」

「ふむ、南の方だとここから近いのはシャルピア村だな。」

「あー、そんな名前だっけか」


はいちょろい〜。さすが異世界、ガバガバ警備だな。

しかし、意外とラノベも的を得ているな。日本人すげぇ…。


「で?出身はどこの村だ?」


ふむ、この場合は…親を探す旅に出てる〜とかが在り来りだが…少し重くしよう。


「俺たちは一応兄妹なんだけどな、俺は両親を早くに亡くしてこいつのところの養子になったんだ。だが、村が盗賊に襲われた時にこいつの両親が俺たちをかばって死んだんだ。俺たちは生き残ったがほかの村人は俺たちの両親が獣人だから引き寄せたんだ〜とか言い出して川に捨てられたんだよ。まあそれで今に至る…かな?そんで近くの街に入った時にこの身分証を作ったんだ。」


んーちょっと作りすぎたかな…けどこんぐらい言ってた方が信ぴょう性は上がるだろう…。根拠はないけど


「そうか…確かに獣人を毛嫌いする村や町も多いからな。この街は獣人も暮らしているが、あまり良くは思われていない。嬢ちゃんはそのフードかぶってた方がいいかもな。」


いいやつ!やっぱ門番兵ってだけあって人柄いい人が多いな。こりゃいい誤算だ。少し手間取るかと思ったがすんなり通れそうだ。


「よし、入場許可証だ。このペンダントを首にかけているあいだはこの街に滞在できる。」


そう言って、オレンジ色をした水晶のペンダントを俺とリリーに渡してくれた。


「そうだ、今日はあと数刻したらブリリア王国から王女様が来訪される。無礼のないようにしろよ?でなければ王国親衛隊に体を真っ二つにされるからな。」


ふーん。江戸かな?まあちょっと違うだろうけど…行進止めたら殺されるのかな?けどチャンスだ。


「(護衛任務が早速出来そうだな。)」


少しニヤッとしてリリーが呟く。


「(あぁ、うまく護衛させてくれればいいけどな…)」

「(大丈夫だろう…先程から微力な魔法を感知している。何者かが潜入して狙っているだろう。)」


たしかに、微弱ながら1人…いや、二人か。魔力で身を隠している。インビジブルに近い魔法だな。


「(まだまだひよっこだな。それにインビジブルは私でも一瞬気を緩めれば姿どころか魔力すら感知しずらい魔法だ。これは下位互換と言ったところだろうな。)」


「おい、何をこそこそ話している。まさか…」

「ん?あぁ、街からいい匂いがしてたもんで何焼いてるか気になってたんだ」

「そ、そうか。まあこの街の飯は上手い。存分に味わっていけ。」

「おう!サンキューなおっちゃん!」


そう言って俺たちは門をくぐる。


「さて…数刻と言っていたな。」

「んー、と言っても金もねーしなぁ…」

「ふむ、盗むか」

「なんですぐそういうこと言うの!」


意外とまんざらでもない顔をしているのが怖い…こいつ…いつか絶対盗むな。


「まあ、護衛対象が来るまでは暇だしなぁ…観光するか〜」


ついでに暗殺者の把握だな。1人は感知できたがもう1人は少しうまいな…感知してもすぐに眩ませる…


「二人目も見つけた。これで安心して観光とやらができるな。」

「は?早すぎだろ」

「私は元魔王だぞ?このくらい序の口だ。だてに50万の兵を率いておらんわ。」


さすが魔王様…あっぱれです。



そして俺たちはこの大きな街を観光することになった。真ん中には噴水広場が設置しており、当たりには屋台や武器屋などが並んでいる。この世界にも勇者や冒険者があるのだろうか…まだモンスターにすら出会ったことがない。情報が少なすぎるな…。だが、むやみに聞いて回るとかえって怪しまれる。護衛任務についてから仕入れるとしよう。

そうこうしているうちに、町中に鐘の音が響き渡る。

すると、周りの人々が一斉に膝をつきだした。

パカラッパカラとゆっくりとした馬の足音が聞こえてくる。前から白い白馬と豪華に彩られた馬車が向かってきた。恐らくあれが王女の乗る馬車だろう。左右に豪華な鎧を着た兵士が馬車の四方に並んで歩いている。


「さて、仕事だな。」

「あぁ、まずは…」


馬車が目前に来た時、俺たちは馬車の目の前にさっと出ていく。そして同様膝をつく。


「全く…なぜ魔王の私が膝をつかないと…」

「はいはい…後でいっぱい愚痴聞くからあとにして」


リリーはぐぬぬといったような顔をして馬車に跪く。


「姫様。お初にお目にかかります。」


俺がそう言うと馬車が静止する。

周りの住人は驚いて声も出ないと言った感じか…当たり前だ。いきなり前にでて馬車の行進を止めたのだ。それも王女の…。


「行進を止めるとは…おい」


馬車を操っていた男がそう言うと四方を守っていた兵士のひとりが剣を振りかざす。

その人振りは、並の人間なら一刀両断されるであろう一撃。その威力は魔物をも一撃で仕留める力を持ったひと振りである。

リリーはその人振りを膝をつき俯いたまま片手で止める。


「なっ…!」

「まあまあ、まずはお話を聞いていただきたい。私たちは街を転々とし、''何でも屋'' として活動しているものです」

「ええい!邪魔だ!さっさと斬り伏せ!」


兵士たちが一斉に俺たちを囲む。

すると馬車から女性の声が聞こえた。


「待ちなさい。そこのたびの人。私に何か御用ですか?」


それは、とても透き通った声であった。だが、どこか不安そうな…そんな声をしていた。


「はい。私たちを、あなたの護衛として雇っていただきたい。」


すると王女は数秒黙り込み…俺たちに答えた。


「必要ありません。私にはこのブリリア王国が誇る精鋭達が居ます。彼らより優秀なものはおりません。」


よしよし、いい感じだ。


「では…あれは気づいておられたかな?」


そう言って俺は近くの手頃な石を持って立ち上がる。


「何をする気だ!」


俺はニヤッと笑う。


「何って?…人助け。」


俺は拾った石を屋根に向けて投げる。


「あ、やべ…眉間外すわ」


石は何かに衝突し、その途端血しぶきをあげる。

あたりにいた人は何が起こったのかわからないと言った表情で上を見つめる。

すると、偶然にもリリーに向けて高速で矢が飛んできた。

勿論、リリーはそれをキャッチする。


「わりぃ!ミスった!」

「はぁ…」


兵士は上を見上げて口を開けている。誰も狙われていたことに気が付かなかったようだ。暗殺者はボウガンとインビジブル()()()を使って王女を殺そうとしていた。


「しかし、死してもなお暗殺を試みようとはやるでは無いか。」

「褒めてどうする!」

「さて、」

リリーは矢を少し離れた民家の屋根に向けて投げる。

その矢は、逃げようとしていたもう一人の暗殺者のボウガンに突き刺さる。


「次は外すなよ?」

「分かってる……っよ!」


俺は拾っていたもう一つの石を逃走する足にめがけて投げた。

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛という叫びとともに暗殺者は屋根を転がり落ちた。


「上出来だ。」

「そりゃどうも。」


辺りは何が起こったのか全くわからない様子であった。王女はというと…馬車の窓から顔を出してその様子を途中から見ていたようだ。よし、予定通りだ。


「さて、このまま進んでいればボウガンと魔法で強化された矢の餌食になる所でしたが…」

「な…なんという…。」


兵士のひとりがこちらを見つめてそうつぶやく。

王女は少し放心状態でいたが、はっと我に戻り窓から顔を引っ込め馬車のドアを開けた。

すると中からは漫画の世界にしかいないような超絶美少女が出てきた。髪はピンクで目鼻立ちも整って…いや、整いすぎていると言っていいほど綺麗な女性だ。

こっちが放心状態になるわ!


「このたびは…助けていただきありがとうございました。」


そう言って王女は軽く頭を下げる。


「1国の王女が簡単に頭を下げてはいけませんよ。」


するとリリーが少しブスッとして


「私もと魔王なんだけど簡単に膝つかされたぞ」

「ややこしくなるから口を挟まない!」


俺は軽くリリーの頭をグーで叩く。


「いて。」


「あ、あの〜…」

「あ、護衛にしてくますか?」


俺は王女に笑顔で尋ねる。


「は、はい!よろしくお願いします!」




意外と期間短かったね笑さて!つぎはついに転生してからの初仕事!乞うご期待!

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