第2話 働かざる者食うべからず
バイトのため更新遅れました。ごめんちゃい
「魔力はいつになったら戻るんだ?」
取ってきた魚を棒に刺し、食べられそうな木の実を貝殻に載せて鍋として使い、俺の火魔法で料理をする。
俺が魔法を使えるのが幸した。これで俺も魔力がなかったら裸で夜を過ごすことになったからな。
島の夜風はよく冷える。
「そうだな…あれから5時間くらいたったが少しずつ戻ってきている。このペースなら、服を生成するのに3日…移動魔法 ジャストを使えるようになるのは2週間といったところか」
三日間少女(元魔王)と裸で過ごすのか…
「どうした?私の体が気になるのか?」
「い、いや…」
慣れるしか…ないな。
「そういや、俺は転生する時選択肢みたいなの選ばされたけど…お前はなかったのか?」
俺と同じ転生者であり、長い間魔王としての責務を果たしてきたのだ。俺より対応が良くてもいいもんだがな。
「あぁ、3つほどあったな。」
「へぇー!3つもあったのか」
「確か…1つは新たな魔王として転生する。2つ目は記憶を消して元の世界へ転生だ。」
ふむ、ここまでは俺も一緒だ。
「で、最後に転生前の記憶を消し、人間として異世界への転生の3つだ」
「まあどれ選んでも代償がつくんだな」
魔王として、また転生しても勇者に殺されることになる。プラス、また長い時間を過ごさなくてはならない。
元の世界への転生…俺の場合は記憶がなかったがこいつの場合は存在する。前世がどんな世界だったか知っているこの元魔王がそいつを選ばなかったのはよほど生きにくい世の中だったのだろう。何せ俺よりずっと昔の人間だからな。200年前か…いつだっけか。明治、大正くらいなのかな?
「で、三つ目を選んだと。でもお前…」
「ん?あぁ、人間なら異世界だと獣人も存在するであろう。」
「だからって普通選ぶか?」
「性別のことは知らん。私は変わったことが好きなのだ。」
そう、私は魔王として責務を果たしてきた。その時、部下達がこのようなことを話していたのだ。
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「はぁ、今日も勇者は攻めてこぬか…暇だなぁ…日本帰りたいなぁ…漫画読みたい。プレステしたい。もう200年くらい生きてるのにまだ来ないのかよ〜。つってもまた働くのも嫌だなぁ…」
そう独り言を呟きながら廊下を歩いているとサキュバス達が何やら立ち話をしていた。
「お、こういった部下の話もちょくちょく入れておかないとな!何話してるんだ…?」
俺は魔王特有の聴力を生かし物陰に潜んで話を盗み聞く。今思うと5m大の男がもの陰に隠れてヒソヒソしているのだ。ほかの部下に見つかったら変人に見られてだろうな。
「今日ね〜麓超えたところの獣人の村行ってきたの〜」
いいなー!ろくに城でれないから行けないんだよなぁ!獣耳っ娘見たいなぁァァァ!
…取り乱した。
「そしたらねぇ〜…ちょーイケメンの!犬耳の獣人がいたの〜!!」
「えー!うそー!」
「しかも…族長の息子らしいわよ!」
「きゃーー!!」
え?それだけできゃーー!ってなるか?なに?この世界の魔族の女って犬耳系が好きなの?
「でもでもー…猫耳の獣人も捨てがたいわよね〜」
「いやいや、なんか猫耳って見た目クール系じゃん。なんかこう…ギャップがないじゃん!犬耳でクールとか…こうグッとこない?!」
「わかるぅぅぅ!!」
…生まれ変わったら犬耳獣人にしてもらおう。
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「(なぜあの時あのような思考に至ったのかは分からぬが…何にせこの姿は色々と使えるであろう。獣人は人の倍以上の力を持つと言われておる。)」
「ふーん…。まあとりあえずは、お前の魔力が戻るまでは進展無しだな。」
「そうだな…。」
「さて、と!やることもねーし…そうだ!名前決めよーぜ!」
「名前?」
「あぁ!お互い魔王勇者呼びじゃ変だろ。もう俺たちは一般人なんだから。」
「ふむ、それもそうだ。」
「元魔王、お前はどんな名前がいい?」
「ふむ…いや、お前が好きに決めればいい。」
「いいのか?」
「あぁ、これといって思いつかないからな。」
これでも俺は昔から人のあだ名を決めるのが得意だった。まさか魔王の名前付をすることになる日が来るとは…
「そういうことなら…俺はジンと名乗ろう。それでお前は…お前はリリーだ!」
その瞬間、お互いの体が一瞬光ったかと思うと目の前に1枚の紙が落ちてきた。
「な、なんだ…?」
「どうやら、名前を決めたことによって身分証のようなものが降ってきたのだろう。」
紙を開くと、性別と名前、職業などが記された身分証のようなものになっていた。
「ふむ、どうやらこれは神からの贈り物みたいだな。」
リリーの方には紙が二枚あり、1つは俺と同じ身分証。もうひとつは手紙のようだった。
「読むぞ。このたびは転生おめでとうございます。ささやかながらお二人の身分証を送らせていただきます。これは、街に入るために必要となりますので、絶対になくさないように。職業は、お二人共放浪者になっておりますが、条件次第で書き換えることが出来ます。書き換えは街役場などで行ってください。では、良い人生を!」
「放浪者って…この神様わざとこの島に送りやがったな…」
しかし、身分証はありがたい。街にワープしても不法侵入、正面から入ろうとしても身分証がなければ金を取られたりするだろうからな。
「とにかく!おれはジン!お前はリリーっつーことで!」
「うむ、リリーか…お前にしてはいい名をつけたな」
「そりゃどうも。」
リリーは名前が気に入ったのか身分証を見てニヤニヤして尻尾を振っている。ほんと犬だな。
そして…十日後
「ふむ、思ったよりも魔力の回復が早かったな。これならお前を連れてもワープ可能だ。だがこの世界は何も知らんから、ランダムになるけどな」
「お!やっとかぁ…!!」
三日ぐらいでパンツと服は新調できたが…と言っても魔王の趣味なのでお互い黒いローブ(エンチャント''魔力耐性最大付与+斬撃耐性最大付与+打撃耐性最大付与'')なんだけどな。エンチャントも魔王が勝手に付けてくれた。女性下着はよく知らないそうなのでとりあえずパンツは俺の知識で作らせた。ブラは…まあそのへんは街で買おう。
「さて、新たな旅の始まりだ…いこう!リリー!」
「あぁ、しっかり捕まれよ!」
眩い光が俺たちを包みこむ…
「8級魔法 ジャスト!!」
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「…ついた…のか?」
目を開けると目の前に門らしきものと、行商人が行き交う姿が見えた。
「ふぅ、何とか成功したみたいだな。まだまだ運は残っているようだな。」
「やっと島生活脱出かぁ…」
元魔王こと、リリーと無人島で過ごすこと約十日、ついに俺たちは、新たな旅の一歩を踏み出した。
「さぁ!まずは金集めだ!」
「どうやって集めるんだ?」
「そりゃもちろん…」
「盗みか?」
「違う!俺達がこの力を生かせる仕事…何でも屋さんだ!」
「……は?」
更新遅れました。次も遅れます。まあ気長に待っててください笑