迫りくる災厄
あ、あかん。話が進まないorz
聖鵬学園の主任警備員守屋大輔にとって、その日は厄日であった。通勤のために乗車していたバスが事故に巻き込まれ、人生で初めて遅刻という醜態をさらしてしまった。しかし、彼にとってこの日一番の不幸は、暗満常夜に出会ってしまったことだった。守屋は遅刻の汚名を返上しようと、いつにもまして真剣に職務に励んでいた。そのせいか、いつもより疲れが早く出てきた。守屋は一息入れようと、詰所に足を向けた。その時、全身黒ずくめの見るからに怪しげな男が校内に足を踏み入れようとしていた。守屋は慌てて男に駆け寄った。
「おい!そこのあんた、何をしている?学園内には関係者以外立ち入り禁止だよ。」
守屋が男を引き留めると、男が守屋のほうへ顔を向けた。年のころは20代半ばから後半とったところだろう。身長はそこまで高くはないが、なかなか整った顔立ちをしている。怪しさ満点の服装も、近くで見るとちょっとしたお洒落のように感じられた。
「ああ、これは失礼しました。私、こういうものです。」
丁寧な口調で、男は名刺を差し出す。その行動に多少の誠実さを感じた守屋は、警戒のレベルを一つ下げ、名刺を受取った。
「なになに、暗満探偵事務所所長 暗満常夜。なるほど、で、探偵さんがこの学園に何の用だ?」
「いえね、こちらの学園の学園長さんから依頼をいただきまして。聞いておられませんか?」
「いや、そんなことは聞いていないが・・・・・・。」
「あれ?おかしいなぁ、学園長さんは話を通しておくから、っておっしゃっていたんですけど。」
「わかった、学園長に確認を取ろう、悪いけど少し待っててもらえるか?」
「もちろんです、よろしくお願いします。」
守屋は学園長に連絡を取ろうと、詰所内にある固定電話に手をかけた。その瞬間、まるで雷に打たれたかのような衝撃が守屋の全身を駆け巡った。守屋は耐え切れず床に倒れてしまう。なんとか体を起こそうとするが、痺れて体が言うことを聞かない。せめて首だけでも、と力を振り絞り顔を上向ける。そこには、気味の悪い笑みを浮かべた男の顔があった。
「ごくろうさまです。」
男はそう告げると、何のためらいもなく、学園に侵入していった。守屋は最後の力を振り絞り、職員室へ回線をつなげた。
「はい、職員室です。どうしました?」
「こちら、主任警備員守屋です。が、学園にしん、にゅうしゃ、が・・・・・・」
それだけ伝えると、守屋は意識を手放した。
「え、なんですって!?守屋さん、守屋さん!」
受話器からは聞こえる声は、守屋には届いていなかった。
「さて、君はどこにいるのかな?神具の呪師・・・・・・はやく私の実験に付き合ってもらわねば。」
男、暗満常夜は不気味な笑みを浮かべながら、歩みを進めていた。魔の手は、小太刀のすぐそばまで迫っていた。
鍔鳴は、体育館で小太刀を探していた。しかし、いくら探しても小太刀の姿を認めることができない。
「くそ、あいつどこにいるんだ。あーもう!なんで携帯を置いてきちまったんだ。ん?あれは・・・・・・。刃向井さんに彼方ちゃん!おーい。」
鍔鳴は日和と彼方に手振り、よびかけた。
「あ、鍔鳴先輩。よかった、無事だったんですね.」
「鍔鳴君!!よかったー心配してたんだよ。」
「いやいや、そっちこそ無事でよかったよ。」
互いの無事を喜び合う三人。しかし、喜び合いもそこそこに、同時に切り出した。
「「「影森(お兄ちゃん)(こーくん)は!?」」」
「え、刃向井さんたち、あいつと一緒じゃなかったの?あいつ、二人を探しに行くって言ってたんだけど。」
「ううん、こーくんとは会ってない。それに私たちは鍔鳴君といるって思ってたから。」
三人の脳裏に最悪のシナリオが浮かび上がる。
「てことはあいつまだ校舎の中かよ!!くそっ!探してくる!!」
鍔鳴体育館を飛び出そうとする。しかし、日和と彼方が押しとどめる。
「先輩、落ち着いてください。ここで先輩が出て行ってもミイラ取りがミイラになるだけです。」
「そーだよ。ここに来るまでに不審者に遭遇しなかったのだって運が良かっただけなんだから。それにこーくんと入れ違いになっちゃうかもしれないでしょ。」
「それはそうだけど・・・・・・・。二人ともあいつのこと心配じゃないのかよ。」
二人の冷静な、しかし冷たいとも取れる判断に、鍔鳴は思わす尋ねる。
「「心配してるにきまってる!!」」
普段では絶対にありえないほどの激しい剣幕にを受けて、鍔鳴は我に返った。
「-!!ごめん、そうだよな、心配してないわけがないよな。少し頭冷やしてくる。」
鍔鳴は早足でその場を去った。
「彼方ちゃん、どう思う?」
「うーん、狐孤さんがついてるからまず大丈夫だとは思うんだけど、何かおかしいよね。」
「やっぱりそう思うよね。こーくんが私たちを探してくれてたとしたら、途中で絶対に合流するはず。してなかったってことは、こーくんに何か別の目的があるってことだよね。彼方ちゃん、探知の呪とか使えないの?」
「ごめん、日和姉ぇ。ここじゃ人が多すぎる。それにお兄ちゃんや狐孤さんならともかく、私じゃ学校全域の探知なんてできない。」
彼方は心底申し訳なさそうに答える。
「ううん、無理言ってごめんね。こーくん無事だといいけど。」
「お兄ちゃん・・・・・・」
小太刀に全幅の信頼を置く二人だが、一抹の不安をぬぐえないでいた。
第八話でした。今更ですが小説を書くって難しいですね (笑)
頭の中ではできてるのにそれを文章にできない。
そんな未熟者ですが、精進してゆきますので応援よろしくお願いします。
次回はとうとう戦闘パートです。お楽しみに!