小太刀の思い
今回は短めです。
物語は冒頭に巻き戻る。
「影森、今の放送って・・・・・・」
鍔鳴は顔を青ざめていう。
「ああ、信じたくないけどマジみたいだな。」
「冗談じゃないぜ、まったく。影森、さっさと避難しよう!」
「いや、おまえは先に行っててくれ。日和や彼方が心配だ、二人を探してから俺も合流する。」
「悠長なこと言ってる場合かよ!探してる最中に犯人に遭遇したらどうすんだ!怪我じゃすまないかもしれないんだぞ!お前の気持ちはわかるけどな、今は自分を優先する時だ。なに、彼方ちゃんも刃向井さんも馬鹿じゃない。とっくに避難してるさ。」
鍔鳴は、日和と彼方を捜索すると言い切る小太刀を説得する。
「いや、あいつらがいる教室は体育館から一番遠い場所だ、まだ校舎内にいる可能性が高い。大丈夫だよ、ここからはそう遠くない、教室に二人がいなかったらすぐに避難する。」
「ああもう!お前ってやつは、二人のことになると途端に頑固になりやがる。わかったよ!さっさと行け!ただし約束だ、絶対無事でいろよな!」
鍔鳴はそう言い残すと急いで教室から逃げ出した。小太刀は教室に誰もいない事を確認し、狐孤を呼び出す。
「狐孤!」
「はっ!狐孤、ただいま参上いたしました。」
いつもとは打って変わり真剣な表情の狐孤が姿を現す。
「状況はわかってるな?二人と不審者の位置を探れ!」
「もうやってます!-!これは・・・・・・」
「どうした?何かあったのか!?」
尋常ならざる表情を浮かべる狐孤に小太刀は問いただす。
「日和様と彼方様は御無事です。体育館に向かわれています。しかし、下手人には呪をはじかれました。申し訳ございません、油断しました。まさか下手人が呪師だとは・・・・・・」
「-!!ばかな、呪師だと!?」
「ええ、間違いございません。油断していたとはいえ、この私の呪をはじいてきました。相当の手練れです。ご主人様、ここは紅羽様におまかせして早々に避難するのが得策かと。紅羽様も下手人を捜索しておられます。」
「なるほどね、あの会長が学校を休んでいたのはそういうことか。」
余談ではあるが、紅羽が学校を欠席したことは学園中に知れ渡っていた。これまで無遅刻無欠席を貫いてきた完璧超人がついに欠席した、学園はこの話題でもちきりであった。
閑話休題
「ご主人様、お早く避難を、ここにいては危険です。」
狐孤は避難を呼びかける。しかし・・・・・・
「いや、それはできない。」
小太刀は拒否する。
「ご主人様!?」
「考えたくはないが、犯人の目的が俺である可能性がある。もし本当にそうだった場合、体育館にいてはみんなを危険にさらすことになる。それはできない。」
「うっ・・・・・・。しかしご主人様、あなた様はもう呪師ではありません。ただの一般人です。そうご自分でお決めになられたではありませんか!!」
「それでもだよ、俺は万に一つも学園の皆を巻き込みたくない。狐孤、心配してくれてるんだな、ありがとう。なに、大丈夫さ。犯人の目的が俺だったとしても、お前がいる。万が一の時はよろしく頼むよ狐孤。」
小太刀はそういうと狐孤の頭をやさしくなでる。
「もう、ご主人様はずるいです。そういう言い方をされては、従うほかないではありませんか。」
狐孤は頬を赤らめ、拗ねたようにつぶやく。そして表情を一転させ、小太刀の前に跪き、いった。
「ご安心くださいご主人様、この狐孤独めがあなた様を全力でお守りいたします。」
「ああ、頼りにしてるぜ。」
その様子はさながら王と忠臣であった。
第七話でした。第一章もいよいよクライマックスに差し掛かってきました。
これまで以上に気合を入れて頑張ります!!
次回もお楽しみに。